日本維新の会が「吉村旋風」で公示前の11議席からの3倍増が確実になった。

新型コロナウイルス対策で全国に名を広めた副代表の吉村洋文大阪府知事(46)を「選挙の顔」に据え、松井一郎代表(57=大阪市長)との「2枚看板」で全国を回った。

大阪市北区のホテルに設けられた維新の開票速報センター。31日午後10時すぎ、松井氏、吉村氏が姿を現した。松井氏は「日本に構造改革が必要だと言い続けてきたことに賛同いただけ、議席増につながった」と勝因を分析した。

維新は小選挙区94人、比例単独2人の計96人を擁立し、前回の倍近い態勢で臨んだ。地盤の大阪全19選挙区のうち候補者を立てた15選挙区で「全勝」した。一方、大阪の自民党は選挙区で「全敗」した。大阪10区の立民前職の辻元清美氏も維新旋風をもろに受け、選挙区で落選した。維新は比例選でも大幅に議席を増やした。

党是の「身を切る改革」を掲げ、自民党との対決姿勢を鮮明にし、批判票の受け皿となる戦略が奏功した。吉村氏の演説では多くの人が詰め掛け、女性から「吉村さん~」の声援が飛んだ。維新幹部は「アイドル並み。人気では創設者の橋下徹氏を超えた」と驚いたほどだった。

会見で吉村氏は「小さなことも含め、大阪で改革の実績を積み上げてきたことが評価された」と話し、「裏を返せば責任が生じたということだ。改革を進めていきたい」と強調した。

松井氏は「政治家はけじめが大事」とし、衆院選後に党代表選が行われる場合は立候補せず、来年1月の任期満了をもって退任する意向を示した。吉村氏も「僕自身は府知事の仕事に専念したい」と党代表選には不出馬を表明した。【松浦隆司】