7月の東京都議選中に無免許運転で人身事故を起こし、自動車運転処罰法違反容疑などで書類送検された木下富美子氏(55)が9日、都議会で2度の辞職勧告決議を受けているにもかかわらず、議員活動を継続する意向を表明した。

真っ赤なドレス風ワンピースにダークグレーのジャケット姿で登庁し、約4カ月ぶりに公の場に姿を見せた。正午から都議会の正副議長と面会。その場でも辞職への考えを問われたが、辞職しない考えを伝えた。

面会後に取材に応じた木下氏は、被害者や都議会議員らへの謝罪の意を述べたあと、「都議会での2回の議員辞職勧告決議を重く受け止めているが、償うべきことをしっかり償った上で、失った信頼を回復することは大変厳しい道のりであることは覚悟しておりますが、1つ1つ、これからの議員活動の中で答えを導き出させていただければと考えております」と言及した。

3度にわたって議会などを欠席した理由には、体調不良を強調した。「選挙活動の期間から不眠、ストレスなどで体調が悪い状況がありまして、事故を受け、さらにその状況が厳しくなった。食べ物が口を通らない日があったり、手がつかなくてイライラや不安にさいなまれたり、寝ずに頑張ってしまうと高揚してハイテンションになるような、自分としても尋常でないような」と説明。医療機関を受診し、現在も薬を服用していることなども明かした。

議員報酬については、7月以降に受給している3カ月分の約192万円を、すでにNPO法人などの団体に寄付したことを報告。月50万円(計150万円)の政務活動費は会派にいったんは支給しなければ、都に自動返納されることとなる。

さらに、この日は水道局からの質疑を受けるために公営企業委員会に出席予定だった。だが、その前に行われた同委員会の理事会出席時に、他の理事数人が公に謝罪しないままの木下氏の出席に対して異議を唱えて会場を去った。

各会派の出席がなければ理事会開催が成り立たない規定があり、理事会後の委員会も開催保留となる非常事態にまで発展。木下氏の行動が、さらなる騒動にも波及した。

木下氏は7月の都議選に小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の公認で板橋区選挙区で立候補し、再選。その後、事故を受けて除名処分となった。現在は自ら立ち上げた1人会派に所属している。【鎌田直秀】