22日に都議を辞職した木下富美子氏(55)に対しての質疑が行われる予定だった東京都議会の議会運営委員会が24日に開催され、小宮安里委員長(45)が冒頭で木下氏についての報告を行った。

「始めに、議員辞職について申し上げます。さる11月22日付で、無所属、木下富美子氏より辞職願が提出されましたので、同日付をもちまして、議長において許可いたしました。当件につきましては、定例会招集当日の本会議において、その旨、報告いたしますので、ご了承願います」。

加えて「この際、委員長より一言申し上げます」と続けた。

「本日、議会運営委員会の総意により、木下氏に対して委員会への出席を要求し、委員会という公の場で質疑を行うことを予定しておりましたが、11月22日付の辞職をもって委員会における質疑が開催されないこととなりました。木下氏は議員を辞職しましたが、都議会に対する説明責任はいまだ果たされておらず、委員長として大変遺憾であることを、あらためて表明しておきます」。

委員会後には会見も行い、説明した。22日に木下氏が行った会見で、仕事をさせてもらえなかったことを「理不尽」と表現したことに対し「木下氏を除く、都議会議員126名の全議員の意思でありました。この間、所属の公営企業委員会を開くことが出来なかったということは木下氏にとっては理不尽な思いをされたということですが、そもそもそうした状況をお作りになったのは木下氏であったということを、まずは受け止めていただかないままに辞職に至られたと、会見を見て感じました」と言及。都議会全会一致での辞職勧告決議も「法的拘束力はない」と軽視する発言もあったことには、「大変残念なご発言。法的拘束力をご主張させる前に、議員126名も選ばれた者として、出来ること、やるべきことを木下氏に対して、議会として決定し、調整し、職員の皆様も含めて本当に多くの時間を費やしてまいりました。総意を受け止めていただけなかったことは残念」と述べた。

「議会に説明を求める場を作る努力も重ねてきましたが、結果として、木下氏のご判断、あるいは体調不良で果たされることはありませんでした。かたや、私どもには議会を運営し、都民生活に影響を与えないようにしていく使命もございます。まさにこれから始まる定例会に集中させていただきたいと考えております」。説明のないままの憤りはあるが、今月30日から始まる本会議に向けて全力を傾ける意向を示した。木下氏の件で課題となった議員の不祥事や長期欠席時の扱いや報酬などに関しては、「都議会のあり方検討委員会」で議論を重ねていく予定だ。小宮氏も「スピード感を持って進めていきたい」と尽力する決意を表した。

木下氏は、7月の都議選期間中に無免許運転で当て逃げ事故を起こしたことを公表せずに当選。都議会が2度にわたって辞職勧告決議を出したにもかかわらず、辞職しない意向を貫いてきた。3度の召喚状や議会運営委員会への出席要請には、体調不良を理由に欠席。だが、都議選時まで所属していた「都民ファーストの会」の特別顧問を務める小池百合子都知事の助言などによって、一転して辞職を決意。22日に辞職願を提出し、会見も行った。【鎌田直秀】