衆院選前に2~3000万円の「裏金要求」をされたと告発した自民党の泉田裕彦衆院議員(59)は3日、「新潟のドン」こと星野伊佐夫新潟県議(82)との9月4日の会話だとする音声データを公開した。星野氏とされる男性が「とにかく必要経費を早くまこう」などと話す音声が記録されていた。星野氏は3日午後、新潟県庁で会見を開き「まったくの作り話」とし、裏金ではなく「政党活動費だ」と違法性を否定した。

星野氏は金額について「演説会や集会の会場費、郵便局に払う切手代、何かを印刷した時の印刷代などの活動費」と説明。続けて「これを各支部に払うのが当たり前で、うちの長岡支部は1円も受け取っていない。市議団から役員全員に確認したけども1000円札1枚も受け取っていない」と話した。

星野氏は泉田氏と面会した9月4日当時を振り返り「選挙はいくらかかるんだと聞かれた。2、3000万と答えたけど、初めての選挙じゃないんだから知ってて聞いたんだと思う」とした。また音声データから「大事な部分」が抜いてあるとも主張した。泉田氏が、自民党新潟県連からの星野氏の除名を求めていることについては「全く意外だし理解できません」と述べた。

星野氏は泉田氏について「師弟関係である泉田さんとこのようなことになるのは残念」と話し「4年前から泉田さんが変わってきたなと思った」。自民党関係者の間からも「泉田さんは人を疑う猜疑心が強くなった」などの声が上がっているとして「私も同調する部分がある。彼に1番言いたいのは、世の中には思い通りに行かないことが沢山ある。自己中心では駄目なんだと言いたい」と泉田氏を批判。その上で「勝ち負けどうこうではないですが、事実を求めていかなければならない」と語った。

泉田氏は3日夜、星野氏の会見を受け、星野氏からお金の話は誰にもするなと言われたとした上で「秘書にも知らせてはいけない、収支報告書にも書けないお金が、どうやったら表のお金になるんでしょう」と改めて反論。また、星野氏の「1円も受け取っていない」との発言に対し、泉田氏は正規の寄付金として「3月と7月に100万円ずつを長岡支部の口座に振り込んでいる」と重ねて反論した。【沢田直人】