東京都の小池百合子知事(69)は14日、都庁で定例会見を行い、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」拡大による宿泊施設療養の協力を促す策の1つとして“駅弁作戦”実施を公表した。家庭内感染が新規陽性者数にもっともつながっている分析から、自宅療養ではなく宿泊療養を推奨。全国各地の人気駅弁を届けることで、単調な宿泊施設生活に癒やしも提供するつもりだ。

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コロナ療養中に、おいしい駅弁を! 都は「宿泊療養施設における食事の充実」をテーマに、有名駅弁の「牛肉どまん中」(山形)「鯛めし」(神奈川)「炭火焼き牛たん弁当」(宮城)「深川めし」(東京)など計1000食をJR東日本の協力を得て用意。小池氏は「食事は重要なアイテム。日常と違う、単調になりがちな宿泊療養に、少しでも彩りを添える工夫をしていこうということで特色ある食事を提供したい」と説明。JR東日本も「駅弁を召し上がっていただくことで気分転換の一助となれば」と期待した。

通常は3食すべて弁当などが支給され、ホテルの部屋に隔離される苦労を少しでも緩和する狙いがある。企画は今月16日に第1回を実施し、週1回程度で継続する意向。今後は日本航空(JAL)の機内食メニューや、高級料亭なだ万(東京)などの仕出し弁当なども追加される予定だ。

東京都は感染者のうち、軽症者と無症状者については、基本的には宿泊療養施設での療養を求めている。しかし、自宅療養を希望する人も多い。小池氏は「個人の事情を話される方もいらっしゃるのですが、みんなで感染症を止めていくためにもお願いしたい」と訴えた。オミクロン株の感染経路は家庭内感染がもっとも多い。軽症者と無症状者で自宅療養を希望する人を宿泊療養に誘導することで、家庭内感染も軽減し、感染者数の抑制につなげたい考えだ。

小池氏は「感染は止める、社会活動は止めない。(エンゼルス)大谷(翔平)の二刀流ではありませんが、2つともかなえるのは大変なことではありますけれど、強敵オミクロンに対して打ちかっていきたい」と呼び掛けた。【鎌田直秀】