安倍晋三元首相が在任中に新型コロナウイルス対策としてから400億円以上をかけて調達、一昨年4月から配布したものの、約8300万枚の大量在庫が問題となった布製マスク「アベノマスク」の無償配布を巡って3日、国会でも論議が起こった。

岸田文雄首相は昨年12月に保管費用だけで6億円以上を要することなどを受け、希望者に配布した残りを廃棄処分すると決定。だが、推計2億8000万枚分の配布希望が殺到。配送費用は10億円に上り、焼却処分した場合は約6000万円と試算されている。

立憲民主党の小川淳也政調会長は「廃棄は1つの選択肢。真にどういうニーズで、どういう人たちが、その配布を求めているのか。元手が400億円近い税金ですから、しっかり検証する必要がある。愚策と言わざるを得ない」とし、国会で追及するとした。

小川氏は1月27日に安倍氏が安倍派会合で「希望者を募ったところ、2億8000万枚の希望があった」と語ったことに「厚労省の正式発表は1月31日だったと思う。安倍さんが4日も前に報告している姿に違和感を感じている」と疑念を呈した。

日本維新の会の市村浩一郎氏から「そもそも税の使い方としてアベノマスクは適切だったのか」と質問を受けた鈴木俊一財務相は「税金の使い方としては問題がなかった」と強調した。不良品や配達遅延でも批判を浴びたアベノマスクは、いまだ「負の遺産」となっている。【大上悟】