藤井聡太叡王(竜王・王位・王将・棋聖=19)への挑戦者を決める、将棋の第7期叡王戦挑戦者決定戦、出口若武五段(26)対服部慎一郎四段(22)戦が2日、都内で行われた。対局は午後4時48分、142手で出口が勝ち、初の挑戦権を獲得した。出口はタイトル戦初登場。規定により、六段昇段も決めた。

混戦を制した出口は、「難しい展開で読み切れなかったが、最後まで粘り強く指し切れた」と話した。五段予選では古森悠太、西田拓也、黒田尭之、本田奎と各棋戦で活躍する若手を撃破。16人による本戦でも村田顕弘六段、今期名人戦挑戦者の斎藤慎太郎八段、元名人の佐藤天彦九段を下してきた。

「どちらが勝つのか分からない将棋ばかりだった。特に黒田戦で乱戦を制したのが大きかった。目の前の1局に集中していたら挑戦者になれた。目標はベスト4でしたが」と笑う。

藤井叡王について、「よく考えて集中して全力を尽くすのが強いところ」と評する。プロ棋士養成機関「奨励会」三段時の2018年(平30)、新人王戦決勝3番勝負で初めて対戦し、連敗した。翌年4月のデビュー後も王位戦予選、テレビ棋戦「銀河戦」と連敗したが、20年3月の棋王戦予選で初白星を挙げた。約2年ぶりの対戦は、タイトル戦5番勝負の大舞台だ。

「あの時は乱戦になって勝てました。(藤井対策は)今後、考えていきたい。自分の力を100%出して、どっちが勝つか分からない将棋をお見せできたら」。4月28日の開幕局(東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」)から、思い切ってぶつかる。【赤塚辰浩】

【第7期叡王戦5番勝負日程】

◆第1局 4月28日、東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」

◆第2局 5月15日、名古屋市「名古屋東急ホテル」

◆第3局 5月24日、「三井ガーデンホテル柏の葉」

◆第4局 6月12日、名古屋市「か茂免」

◆第5局 6月19日、京都市「北野天満宮」

<藤井竜王と出口六段比較>

【藤井竜王】

プロデビュー 2016年(平28)10月

昨年度成績 52勝12敗(勝率8割1分3厘)、

通算成績 265勝52敗(8割3分6厘)

主な戦績 20年棋聖戦、王位戦制覇。21年棋聖戦、王位戦防衛。叡王戦、竜王戦、王将戦でタイトル奪取し、史上最年少5冠。22年3月A級昇級

師匠 杉本昌隆八段

独身

【出口六段】

プロデビュー 2019年4月

昨年度成績 39勝14敗(7割3分6厘)

通算成績 102勝44敗(6割9分9厘)

主な戦績 18年新人王戦準優勝、21年3月C級1組昇級

師匠 井上慶太九段

職場結婚 妻は北村桂香女流初段(昨年4月、結婚)