プロ野球千葉ロッテ佐々木朗希投手(20)の完全試合達成から一夜明けた11日、新記録「13者連続三振」やタイ記録「1試合19奪三振」を含めた興奮、熱狂が続いた。

東京・銀座の岩手県アンテナショップ「いわて銀河プラザ」では、佐々木が愛する故郷の大船渡市ローカル調味料「酢の素」(税込み486円)が販売された。「朗希」が見出しのスポーツ紙が掲示された前に並んだ限定60本が“最速164キロ”ばりのスピードで約1時間半で完売。60本は約1カ月で売れるペースだけに、同県花巻市出身の佐藤エミ店長(38)は「すごすぎて元気になるし、かってに誇らしい気持ちになっています」と佐々木の偉業と酢の素人気に驚きの表情だ。オンラインショップでも注文が殺到しており、次の入荷は“中3日”の15日だ。

20年5月、佐々木が「恋しくなった食べ物は?」の質問に「酢の素」と答えたことで「なんだ、それは?」と注目された。ボトルに「濃厚」と書かれているように、通常は約4倍希釈。大船渡市民は原液で使用する人も多いが、マグロなどの刺し身にかけると真っ白に変色する“威力”も地元ではおなじみだ。

製造元の水野醤油店3代目水野一也さん(58)も「完全試合をしてから一気に注文が入り、在庫がすっからかんになった」と苦笑い。「朗希くんのおかげで、地元のごく一部しか販売していなかった商品の知名度が、日本全国に広がった」とあらためて感謝。新たな顧客からリピーターも確実に増え、コロナ禍でも売り上げが「1・5倍くらい」伸びた。「朗希くんは、ここがピークではない。大谷翔平くんみたいにメジャーに」。佐々木と共に酢の素も世界進出なるか。

2代目の水野勝平さん(84)は自宅でテレビ中継が映らなかったことに「テレビもねぇ、ラジオもねぇ、朗希も(それほど?)映ってねぇ」と無念のボヤキ。それでも「たまげたよ~」と佐々木の活躍が元気の素のようだ。【鎌田直秀、沢田直人】

◆酢の素 水野醤油店(本社・岩手県大船渡市)が約40年前から製造し、当時は「おまけ」として見本配布から開始。種別は合成酢。原材料は醸造酢(アルコール)、酢酸、食塩、甘味料のサッカリンNa、カラメル色素。三陸わかめなどにかけて食べるなど用途は通常の酢と同様だが、地元では「初めて食べる人はむせる」と言われるほど強烈な酸味が特徴。岩手県や三陸地域のアンテナショップでのネット販売はあるが、ほとんどが口コミで広がり電話注文が多い。岩手県内での認知度も高くはなかった超ローカル調味料。佐々木家では常備されている。

◆佐々木朗の完全試合 10日オリックス3回戦(ZOZOマリン)で史上16人目の完全試合を達成した。佐々木朗は立ち上がりから160キロ台の速球を連発。1回に3番吉田正から3球3三振を奪うと、ここからプロ野球新記録となる13者連続奪三振をマーク。後半も勢いが止まらず、最後は代打杉本を空振り三振で締めくくった。105球を投じてオリックス打線を完璧に封じ込み、打者27人をプロ野球タイの19奪三振、内野ゴロ5、内野飛球1(捕邪飛)、外野飛球2に仕留めた。チームは6-0で勝利した。