ロシア国営テレビのニュース番組の生放送中に「NO WAR」と書かれた紙を持って画面に乱入して自国のウクライナ侵攻に抗議したマリーナ・オフシャンニコワさん(43)が、ドイツのディ・ウェルト紙の特派員に採用され、今後は西側諸国にウクライナやロシアの現状を伝える新たな仕事に就いたことが明らかになった。

米CBCニュースなどが報じたもので、オフシャンニコワさんはフリーランスの記者としてウクライナとロシアからニュースを寄稿すると共に同紙が所有するテレビのニュースチャンネルにも出演する予定だという。ニューヨーク・ポスト紙によると、同紙は一面にオフシャンニコワさんの写真と共になぜ反戦を訴える行為に至ったのかやロシア政府のプロパガンダについて記した最初のコラムを掲載し、反戦抗議が自身の人生をどのように変えたのか説明しているという。

国営テレビ「チャンネル1」の編集者だったオフシャンニコワさんは先月14日、厳しい統制下のロシアにおいて生放送中に反戦を訴えたことで国際的な注目を集めていた。身柄を拘束されて14時間にわたる取り調べを受け、3万ルーブルの罰金を科せられたのちに釈放されたオフシャンニコワさんは、仏のマクロン大統領が申し出た亡命を辞退。辞職後もロシアにとどまる意向を示していた。

オフシャンニコワさんは、「現在、ウクライナにいる勇敢な人々が強固に守ろうとしているもの、つまり自由を支持している。その自由を守ることはジャーナリストとしての私の責務だと思っている。ディ・ウェルトのためにそれができることをうれしく思います」とコメント。同紙の編集長も、「国家による弾圧の脅威にも関わらず、最も重要なジャーナリズムの倫理を守った。彼女と一緒に仕事ができることに興奮している」と述べている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)