日本初の「ペット専用新幹線」が今月21日に実証実験として運行される。

JR東日本(本社・東京都渋谷区)および関連企業や、ペット情報やフードなどを展開するPETOKOTO(本社・東京都新宿区)が連携。北陸新幹線の1車両を貸し切り、上野から軽井沢へ新幹線移動。現地でのイベントや宿泊を含めた1泊2日の「わん!ケーション」と称したツアー(応募は締め切り)に、約20組が参加する予定だ。

現在のJR東日本の規定では、ペット(犬、猫、鳥など限定)乗車は認められているが、縦、横、高さの合計が120センチ以内の動物専用ケースに入れることが必要。重さもケースと動物を合わせて10キロ以内。「手回り品料金」290円の有料だ。今回は「小型犬」限定で食事禁止やオムツ着用などの制限はあるが、新幹線車内の約40分間、ケージから出て座席で過ごす「ファミリータイム」が可能となった。

JR東日本担当者も16日、「ペットツーリズムの観点や、ペット共存においても、動物が苦手な方やアレルギー対策を検証していかないといけない」と実施理由を説明。ペット同伴環境が整っている軽井沢を旅行先に選択し、各社の協力を得ながら、清掃方法や車内での旅の形など、今後の検討材料にしていく。

PETOKOTOの井島七海執行役員COO(28)も「15歳以下の人口よりも犬の数が多いと言われている時代。今後は大型犬やさまざまな種類まで広がってほしい」と願う。首都圏の新規住居の8割以上がペット可であり、ドッグランやトリミングルームを併設する共生住宅の人気も高まっている時代に突入。同社の調査によれば、ペットとの旅行移動に約84%が自家用車を使用。高齢者などを含め、公共交通機関を利用出来ればペットとの旅行アクセスは充実する。

今回も「大型犬も」「西日本でも」などの声が届いており、「日本全国で注目していただいているので一石投じられればよい」とペット社会の環境整備に尽力する。大型犬や特殊動物などの移動には、駅構内での動線などを含めて課題は山積。だが、「ペット旅行」の充実は近い将来に求められている。【鎌田直秀】

◆過去の主な犬との同行企画◆

▽10年11月20日、西武鉄道が「いぬでん」と称して実施。西武園ゆうえんちで犬と一緒にアトラクションを楽しむ「ワンちゃんが主役の2日間」開催に合わせ、朝の西武遊園地駅行き1本、夕方の西武新宿駅行き1本で、犬を移動用かごから出して車内で過ごすことが可能。

▽17年1月、日本航空とジャルパックが「ワンちゃんとの旅ワンワンJET鹿児島3日間」ツアーを実施。成田-鹿児島間のJAL1111(ワンワンワンワン)便をチャーター。離着陸時などはケージに入った状態で座席固定だが、時間限定で座席や膝の上で過ごすを許可。

▽18年11月11日、ひたちなか海浜鉄道が「わんわんライド湊線」として、阿字ケ浦駅-日工前駅間の上下線計17本で実施。乗車券のほか、1人あたり260円で、犬などのペットをケージに入れずに同伴可能。引き綱を放しての乗車は不可。