ロシアによる侵攻を受けて壊滅的な被害を受け、完全制圧されたウクライナ南部マリウポリを観光するロシア人の姿が、SNSに投稿されていることが分かった。ウクライナの腐敗防止組織団体で活動するオレナ・ハルシュカさんが、ロシア軍による爆撃で崩壊した劇場跡地を歩くロシア人の姿を撮影した動画をツイッターに投稿していると英デーリー・スター紙が伝えている。

3月16日に爆撃されたマリウポリの劇場には当時、子供を含む1000人以上の民間人が避難しており、劇場の外にはロシア語で大きく「子供」の文字が記されていたことから世界中に大きな衝撃を与えた。爆撃で少なくとも600人以上が亡くなっていることが伝えられており、がれきと化した建物の下には現在も行方不明になっている多くの市民が眠っているとされている。

ハルシュカさんが投稿した動画では、ロシア人とみられる男性が歩きながら死体の臭いに不満を述べる様子などが収められており、一部のロシア人の間で観光ツアー化していると主張している。同市のボイチェンコ市長は、劇場への空爆を「ジェノサイド(集団虐殺)」だと非難していた

マリウポリをめぐっては、最後のとりでで、ウクライナにとって抵抗の象徴となったアゾフスタリ製鉄所が制圧されたことでロシア側が「完全掌握」を発表し、同地をリゾート化する計画だと伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)