藤井聡太棋聖(竜王・王位・叡王・王将=19)に永瀬拓矢王座(29)が挑戦する、第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局が3日午前9時から、兵庫県淡路市「ホテルニューアワジ」(産経新聞社、日本将棋連盟主催)で行われた。対局は午後4時17分、千日手が成立。先手後手を入れ替えて30分後の午後4時47分から始まった指し直し局も、午後5時38分に千日手となり、先後を入れ替え、再度指し直し局となった。午後6時8分からの再指し直し局は後手の永瀬が午後9時42分、114手で制し、先勝した。第2局は15日、新潟市西蒲区「高志の宿 高島屋」で行われる。

永瀬が、「2千日手」の末に白星をもぎ取った。混戦、泥仕合、千日手は大好物。和服の藤井に対し、スーツにネクタイというふだんの対局姿で、「まだまだ指せますよ」と言いたげな表情を見せ、藤井のタイトル戦14連勝を阻んだ。「1日3局はレアケース。教えていただいた1日だった」と謙虚だった。

6年前の2016年(平28)6月3日、タイトル戦初登場となったのは、同じ棋聖戦、しかも同じホテルニューアワジだった。この時も千日手指し直しの末、羽生善治棋聖(当時)からタイトル戦初勝利を挙げている。相性のいい対局場で本領を発揮した。

「次戦に向けて、先手番を生かせるように準備したい」と話していた。