藤井聡太棋聖(竜王・王位・叡王・王将=19)が永瀬拓矢王座の挑戦を初めて受ける、将棋「第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局」(産経新聞社、日本将棋連盟主催)が15日、新潟「高志の宿 高島屋」で行われる。対局前日の14日、両対局者は現地入り。前日検分を行った。

開幕局は、1994年(平6)1月7日の第63期5番勝負第3局、羽生善治棋聖対谷川浩司王将戦、02年の第15期竜王戦7番勝負第1局、羽生竜王対阿部隆七段戦(肩書、段位はいずれも当時)以来の「2千日手」となった。

指し直し2回の末に黒星を喫した藤井は、第1局の振り返りと今局への準備に時間を費やしたという。負ければタイトル戦初の連敗でかど番となり、3連覇に赤信号が点滅する。「敗れて第2局は後手番と、厳しいスタートになってしまった。立て直して頑張りたいと思います」と話した。

一方、「千日手上等」「泥仕合大歓迎」の「永瀬ワールド」をいきなり発揮して先勝した永瀬は、藤井戦3連勝中。先週9日には渡辺明名人への挑戦権を争う今期のA級順位戦開幕局で、豊島将之九段を下した。これで本年度は立ち上がり7連勝と絶好調だ。「昨年の経験がうまく生かせている」と分析する。

第1局を制したアドバンテージもある。「損はしていない。余裕はある。(第2局で)勝つことができれば、差をつけられるチャンス。目の前の1局に集中して指せば、結果が幸いすることがあるかもしれません」と話した。

高島屋は1996年(平8)7月30日に行われた「第67期棋聖戦5番勝負第5局」で、当時の7冠すべてを保持していた羽生棋聖が挑戦者の三浦弘行五段(いずれも当時)に敗れ、6冠(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将)への後退した、将棋界の歴史をつづった対局場で、今局は何が起こるのか?