藤井聡太王位（竜王・叡王・王将・棋聖＝19）が豊島将之九段（32）に先勝を許した、将棋の「お～いお茶杯第63期王位戦7番勝負第2局」（札幌市「ぬくもりの宿ふる川」）は14日午後6時21分、99手で先手の藤井が豊島を下し、1勝1敗とした。

13日午前9時からの2日制で同所で始まった対局は、積極的に踏み込んだ藤井が粘る豊島を振り切った。タイトル戦初の連敗を阻止するとともに、北海道開催の王位戦第2局は、3年連続での勝利となった。第3局は20、21日、神戸市「中の坊瑞苑」で行われる。

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じっと盤を眺めて、藤井が寄せの構図を描く。時折見せる渋い受けが裏芸なら、一直線の攻め合いは藤井の表芸。「切り合いは望むところ」とばかりに、駒の損得よりもスピードを重視する。積極的に豊島陣へと踏み込んだ。

黒星を喫した開幕局と同じ角換わり腰掛け銀。「この形でやってみようと思っていました。進んでみると分からなかった」。後手玉を逃さないよう、対応を考えながら進めた。豊島の反撃や終盤の寄せについて、「どういう対応がいいか、かなり考えないといけない変化が多かった」と、勝利にほっとした様子だった。

初登場した一昨年から、3年連続で7月13、14日と開催された王位戦北海道シリーズは好相性。今年も勝って、負けなしの3連勝だ

一昨年（札幌市「ホテルエミシア札幌」）は木村一基王位（当時）との激しい寄せ合いを制した。対局翌日の15日に大阪市へと移動。かけ持ちで挑戦していた16日の棋聖戦5番勝負第4局で、渡辺明棋聖（当時）からタイトルを奪った。強行軍など関係ない。2002年（平14）7月19日生まれの藤井は18歳の誕生日3日前、17歳11カ月の史上最年少でタイトルを初めて獲得した。

昨年（旭川市「花月会館」）は豊島との混戦から勝利をもぎ取った。開幕局を落とし、それまで通算1勝7敗と分が悪かった相手からの白星がきっかけで、王位戦は第2局から4連勝。王位初防衛を果たした。

今年も棋聖戦とのダブル防衛戦をこなしている。王位戦第3局の前に大一番がある。17日の10代最後の対局となる棋聖戦5番勝負第4局（名古屋市）だ。こちらは永瀬拓矢王座に2勝1敗と、防衛まであと1勝としている。

「対局が続きますが、よいコンディションで臨めるようにしたいと思います」。今年も北の大地から藤井がステップアップする。【赤塚辰浩】

 

【お～いお茶杯第63期王位戦7番勝負日程】

◆第3局　7月20、21日、神戸市「中の坊瑞苑」

◆第4局　8月15、16日、佐賀県嬉野市「和多屋別荘」

◆第5局　8月24、25日、徳島市「渭水苑」

◆第6局　9月5、6日、静岡県牧之原市「平田寺」

◆第7局　神奈川県秦野市「元湯陣屋」