ロシアによるウクライナ侵攻で日本に避難している女性2人と、支援活動に取り組む関西人の男性1人が“漫才トリオ”を組んだ。3人は23日、都内の市民ホールでデビューし、笑いを交えて平和を訴える。

企画をしたのは日本でベンチャー企業の代表を務める吉村大作さん(42)。侵攻が始まって以来、ウクライナに数百万円分のIT系の仕事を発注し、日本の企業との橋渡しを行ってきたという。吉村さんは「ニュースだけでは温度感が伝わらない」と、ウクライナから避難し、仕事上で知り合った画家のユリヤ・ボンダレンコさん(30)とウェブデザイナーのエリザベータ・コロトコバさん(23)に、漫才をする企画を提案した。

トリオ名はウクライナ人を表す「ウクライニアン」に、関西弁の語尾「やん」を合わせた「ウクライーニヤン」。ネタは3人の自己紹介と前説から始まる。ボケ役のユリヤさんに吉村さんがツッコむ。エリザベータさんはウクライナ語と関西弁を使い分け笑いを誘う。ネタの後は避難民としての経験や夢を語る。吉村さんは「いっぱい笑ってもらいたいし、平和についても考えて欲しい」と話した。

ユリヤさんはウクライナ北部のチェルニヒウ出身。戦争が始まった今年2月、道に転がった戦車や爆弾の爆発で空が赤く染まる光景を目の当たりにした。実家にとどまることを決めた母には「もう2度と会うことは無いかもしれない」と抱きしめられた。日本については、11年の東日本大震災から4年後、ラジオで被災地の復興の歩みを聞き「いつか行きたいと思っていた」という。

エリザベータさんはウクライナ東部のドネツク生まれ。14年から親ロシア派が一部地域を支配している。今年3月、両親と暮らしていたイルピンの集合住宅では砲弾4発が撃ち込まれ「なぜ、2度も故郷を失われないといけなのか」。日本にいる知り合いを頼りに3月下旬に来日した。

トリオは全国各地で活動していくことを目指している。吉村さんは「2人のファンや友達が増えることで、支援が継続していくと思う」と語った。【沢田直人】