秩父エリアの持続的な発展を目指す分散型宿泊施設「NIPPONIA(ニッポニア) 秩父 門前町」が8月5日、埼玉県秩父市内に開業する。その内覧会と開業セレモニーが26日、行われた。

この施設は、滞在を通じて地域の文化を体験できる、レストラン・カフェ併設の全8室の宿泊施設。秩父エリアのにぎわい創出、持続的な地域の活性化のため、西武秩父駅周辺の古民家3棟をリノベーション(改修)した。

同市内にある築約100年の「マル十薬局」を改修した「MARUJU棟」には蔵や離れ、母屋と趣の異なる5つの客室と、創作フレンチレストランを併設した。また、登録有形文化財「小池煙草店」と、隣接する「宮谷履物店」を改修した「KOIKE・MIYATANI棟」は昭和レトロを楽しめる3つの客室と、カフェを併設した。同時に秩父神社周辺の街歩き、伝統的な織物「秩父銘仙」の着物の着付け体験などの体験プログラムも提供の予定で、古き良き町並みが残る「レトロモダン」な秩父を楽しんでもらおうとの狙いがある。

埼玉県によると、秩父市の一昨年の観光客は約370万人(コロナ前の2019年(令元)は約500万人)だった。レイクタウンを抱える越谷市の約4145万人、「埼玉スタジアム2002」「さいたまスーパーアリーナ」「鉄道博物館」などがあるさいたま市の約1353万人、アウトレットがある入間市の約530万人、「時の鐘」の川越市の約385万人に次いで5番目にあたる。

「西武リアルティソリューションズ」「三井住友ファイナンス&リース」「NOTE」とともに、この事業に共同出資した「秩父地域おもてなし観光公社」の会長でもある北堀篤秩父市長(72)は、「古民家再生事業は意義ある取り組み。歴史や文化に触れて、秩父の魅力を発信し、地域を活性化させたい」と話していた。