野田聖子女性活躍担当相が10日、ブログを更新し、野田氏の夫が、週刊文春と週刊新潮に「夫が元暴力団員」などと報じられた記事で名誉を毀損(きそん)されたとして、発行元の文芸春秋と新潮社に損害賠償を求めた裁判の判決が確定したことを受け、経緯などを説明する文書を掲載した。

夫側の上告を退けた最高裁の判断は「誠に遺憾」とし、野田氏が関係者から「夫がごく普通の会社員として真面目に勤務し、プライベートも含め、暴力団として活動する余地などなかった」との事実を確認したと主張している。

野田氏はブログで「報道にあります夫が訴えている裁判の件についてご説明致します」と切り出すと、「上告の後、夫が暴力団に所属していたといわれている時期に、夫と交際関係のあった知人、また、夫が勤務していた会社の関係者の方々から詳細な事実関係を確認しました。これにより、当時、夫がごく普通の会社員として真面目に勤務し、プライベートも含め、暴力団として活動する余地などなかったこと、また、暴力団との関係もなかったことを明らかにしていただきました」と説明した。

続けて「他方、週刊誌に頼まれて夫が暴力団に所属していたと証言をした人物(元暴力団組長※これが真実性に関する唯一の証人)については、昨年、京都府警が偽証罪の疑いがあるとして捜査を開始し、本年5月に至るまで熱心に捜査を続けてくださいましたが、残念なことに、当該偽証をした人物が死亡し、捜査は打ち切りとなってしまいました。ただ、本年7月、捜査を担当した捜査官の方からは、この人物が偽証をしたものと考えていたとの見解を頂いています」とつづった。

野田氏は「最高裁の判断は誠に遺憾ではありますが、最高裁は法律審であり、上記のような事実を踏まえていないものであります」との持論を示した。

最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は8日付で、野田氏の夫が文芸春秋と新潮社にそれぞれ1100万円の損害賠償を求めた2件の訴訟について、夫側の上告を退ける決定をした。これで文芸春秋に55万円の支払いを命じた東京高裁判決と、新潮社への請求を棄却した東京高裁判決が確定した。

週刊文春は18年の記事で、野田氏の夫が野田氏に依頼して仮想通貨関連会社と金融庁の面談を設定させ、金融庁に圧力をかけたなどと報じた。東京高裁は今年2月の判決で「どう喝行為」などの記述は名誉毀損と認める一方、夫が元暴力団員ということや、野田氏に頼み面談を設定させたことは「真実と信じる相当の理由がある」と認めていた。

週刊新潮も18年に同様の記事を掲載。東京高裁は昨年12月の判決で「記事の重要な部分は真実と認められる」として、一審に続き、夫の請求を棄却していた。