米フロリダ州パームビーチにある別荘マー・アー・ラゴに8日、米連邦捜査局(FBI)の家宅捜索が入ったトランプ前米大統領が15日、「パスポートを盗まれた」と自身のSNSトゥルース・ソーシャルに投稿してFBIを批判した。

FBIは、トランプ氏が退任時にホワイトハウスから違法で持ち出した機密文書を保管している可能性があるとして家宅捜索を行い、「最高機密」を含む11組の機密文書を押収したことが明らかになっている。

捜査官は地下倉庫や金庫も捜索したと言われているが、トランプ氏は「FBIによる家宅捜索で、彼らは私の3冊のパスポート(うち1つは有効期限切れ)とその他全てを盗んだ。これは我が国でかつて見られなかったレベルの政敵への攻撃だ」とつづっている。

FBIがパスポートを押収した理由や、なぜ有効なパスポートを2冊持っていたのかは明らかにしていない。一方、トランプ氏は通常のパスポートに加え、大統領専用の外交旅券も所持していた可能性が指摘されている。

家宅捜索でFBIは20箱以上の証拠品を押収しており、押収品リストには写真や手書きのメモ、フランス大統領に関する情報なども含まれていた。押収された機密文書には核兵器に関するものも含まれているとの報道もあるが、文書の具体的な内容までは明らかにされていない。

FBIは国防情報の違法所持などを禁じるスパイ防止法違反など3つの違法行為の容疑で家宅捜索したことが明らかになっており、スパイ法違反で有罪になれば文書ごとに最高10年の実刑判決を受ける可能性がある。そのため、ネットでは「国外逃亡」の恐れがあるため、パスポートが押収された可能性を指摘する投稿が相次いでいる。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)