政府は6日、故安倍晋三元首相の国葬(27日、東京・日本武道館)に関する費用の概算総額を約16億6000万円と発表した。警備費を8億円程度、外国要人の接遇費に6億円程度、自衛隊の儀仗(ぎじょう)隊等の車両借り上げ費1000万円程度を新たに公表した。すでに会場の設営費や借り上げ料は2億4940万円が2022年度予算の一般予備費から支出することを閣議決定されている。

岸田文雄首相は式典関係費を除く、会場周辺の警備費や海外からの要人接遇などの追加経費について「最終的に外国要人の数がどのぐらいになるかによって接遇費、それに対応する警備の費用は変わってくる」と否定的だった。だが、国葬が迫る中、立憲民主党、共産党など野党は5日、政府に対して合同ヒアリングで概算総額などの説明を求めたが、ゼロ回答で批判が相次いだ。

岸田首相は国葬について自民党役員会で「説明責任をしっかり果たしたい。経費についても丁寧に説明する努力をする」と述べ、8日にも閉会中審査に出席する方向で調整している。その前提条件として野党側から求められていた国葬費の概算総額の提示に急転して応じることになった。連日開催された野党合同ヒアリングでは「国葬費が概算額より増える可能性」を追及されたが、政府側からは明確な回答はなく、概算を上回る懸念は消えない。【大上悟】