岸田文雄首相が正念場を迎える。10月3日に召集される臨時国会は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治を巡る問題と安倍晋三元首相の国葬強行の総括が争点となるのは明らか。

28日午前、松野博一官房長官は衆参両院の議院運営委員会理事会に召集日は明示したが、会期や政府提出の法案も示さない異例の提案に野党側が猛反発し、休会となった。与党側は午後に12月10日まで69日間とする会期案を提示し、会期に関して野党側は了承したが、具体的な審議日程などは合意しておらず、5日後に迫った論戦へ緊迫ムードが漂っている。

野党側は論戦最大のテーマとして旧統一教会を巡る問題を掲げる。立憲民主党や共産党などとの野党共闘に距離を置く日本維新の会と国民民主も同調し、野党6党で旧統一教会との接点が指摘されている細田衆議院議長に対し、説明を求める方針で一致した。立民の安住淳国対委員長は「国権の最高機関である衆議院の議長として、旧統一教会とご自身の関係について説明する責任がある」などと厳しく指摘した。

これ対して細田氏は「29日にも一議員として何らかの対応をしたい」との意向を議院運営委員会に伝えたという。臨時国会前に火消しを図りたいところだが、説明次第では野党側は今後の日程調整などに応じない姿勢もちらつかせ、逆に炎上する可能性もある。細田氏は昨年11月の議長就任で自民党会派を離脱し無所属扱いとなり、自民党が今月8日に公表した所属国会議員に対する聞き取り調査の対象外となった。

細田氏は教団の関連団体の集会でスピーチを行うなど複数の接点が問題視されている。また自民党は30日に旧統一教会との関係について追加発表を行う予定だが、山際大志郎経済再生相ら現役閣僚からも、未申告の教団との関係が相次いで判明するなど泥沼の様相だ。

臨時国会へ向けた与野党間の交渉が緊張感を増す中で岸田首相はこの日、都内で講演した。「与野党を問わず、いろんな関係があったのは事実だ。教団との関係をしっかり断ち、実行することが何よりも大事だ」と改めて絶縁を宣言したが、山際氏らの任命責任も含め、難局を迎えている。