藤井聡太竜王(20)が初防衛を目指して広瀬章人八段(35)の挑戦を受ける、将棋の第35期竜王戦7番勝負第1局が8日、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で行われた。8日午前9時からの2日制で始まった対局は、この日午後6時2分、107手で先手の広瀬が先勝した。初防衛を目指す藤井は広瀬の緩急自在な指し回しに屈し、黒星スタートとなった。「ひふみん」こと加藤一二三・九段(82)の「ひふみんアイ」をお届けします。

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私のワセダの後輩、広瀬八段の会心の勝利でした。あわてて攻め込まず、ひと呼吸置いて8筋に守備用の銀を備えてから相手陣に攻めかかるとか、意表をついて玉の「顔面受け」をするとか、大胆かつ繊細な指し回しが光りました。

終わってみれば、藤井竜王の敗因は分かりません。最後は強硬手段で飛車をタダ捨てしたり、専守防衛の銀を打ったりと手を尽くしましたが、今局に限れば広瀬八段の力が上回っていたと言えましょう。

4年前に羽生さんから竜王を奪った実力者で、中~終盤の力もある上、序盤もしっかり研究してきた感じです。初顔合わせの難敵を前に、藤井竜王がどう立て直すか見ものです。挑戦者が先勝して、竜王戦は面白くなってきました。