大阪の繁華街・北新地のキャバクラ店のいずれも10代後半の女性従業員らに「タイマンしたらええやんけ。場所を用意したるわ」と、殴り合いの「決闘」を実行させたとして、大阪府警天満署は17日、決闘容疑で、キャバクラ店の経営者で大阪市福島区の上野瑛一容疑者(30)を逮捕、送検していたことを発表した。署によると、上野容疑者は半グレのメンバーとみられる。逮捕は10月31日。

逮捕容疑は、8月3日午後11時35分ごろ、大阪市北区の歩道で、現従業員と元従業員の女性2人に決闘を提案し、4日午前0時半~同日午前0時35分の間、北区にあるキャバクラ店系列店舗内で、女性らを殴り合わせ、けがを負わさせた疑い。

署によると、元従業員が無断で店を辞めたことに、現従業員が腹を立てて、トラブルに発展。上野容疑者が決闘を提案し、女性らが合意した。この決闘で、現従業員の女性が頭や顔面を打撲し、首を捻挫するなど、約10日間のけがを負った。署は、女性ら2人に対しても決闘容疑で任意で事情を聴いている。複数の関係者が決闘を見物していたことも判明し、捜査を続けている。

決闘の前には、元従業員の友人の女性が、別の従業員の女に一方的に暴行を加えられ、鼻の骨を折るなどの重傷を負った。署は8月5日に傷害の疑いで、10代後半の女を逮捕した。

決闘罪は、1889年に制定された。互いに決闘に合意し暴行することで適用される。そのほか、立会人や決闘の場所を提供した人も罪に問われる。【沢田直人】

◆決闘罪 決闘を挑んだ者と受けた者を罰する法律。江戸時代からのあだ討ちや果たし合いを防ぐために1889年(明22)に制定された。決闘した者は2年以上5年以下の懲役。立会人や場所の貸与した者は、1カ月以上1年以下の懲役。近年では「タイマン」と呼ばれる少年同士の決闘に同罪を適用している。