岸田文雄首相が、「政治とカネ」の問題を抱える寺田稔総務相の更迭を検討していることが分かった。19日、関係者が明らかにした。

首相はこの日、東南アジア歴訪で訪れているタイで会見し、寺田氏を続投させるか問われ「どうあるべきか、内閣総理大臣として判断していきたい」と続投を明言せず、更迭に含みを残していた。20日にも最終的に判断するとみられる。

寺田氏は、政治資金の担当大臣ながら、政治資金をめぐる問題や疑惑が次々に浮上。説明も不十分なため、自民党内からも「辞めさせないと政権がもたない」(関係者)と、早期更迭を求める声が出ていた。

寺田氏は首相の側近。先月24日に山際大志郎経済再生相、今月11日に葉梨康弘法相が辞任しており、寺田氏が辞めれば約1カ月間に3閣僚が辞任する、深刻な「辞任ドミノ」となる。任命責任がある首相のダメージは大きく、求心力はますます低下しそうだ。

首相は会見で、今後、補正予算案審議など重要課題を控えることに触れた上で「閣僚も求められる説明責任は徹底的に果たしていただかなければならない。この2つの観点から判断したい」と発言。寺田氏問題が国会審議に影響するのを避けたい思いをにじませた。 首相は山際、葉梨両氏の辞任前には、更迭の可能性について「そういったことはまったくない」などと明確に否定していたが、「辞任ドミノ」を恐れて判断が遅れ、決断力のなさを露呈。今回は早期決断が必要と判断したとみられる。

一方、寺田氏は18日の会見で「職責を果たす中で岸田内閣を支えたい」と、続投に意欲をみせている。