閣僚の「辞任ドミノ」が続く岸田政権で、今もなお「政治とカネ」の問題を抱える自民党の秋葉賢也復興相に、新たな疑惑が浮上した。昨年10月の衆院選で、公設秘書報酬を受け取って選挙運動を行ったとして、公選法違反(運動員買収)の疑いがあると、写真週刊誌「フライデー」デジタルが24日までに報じた。

記事では、昨年の衆院選の「選挙運動費用収支報告書」に、選挙運動の報酬として、公設第1秘書に12万円、公設第2秘書に8万円をそれぞれ支払ったとする記載があったと指摘。公選法は報酬の支払いの対象を限定し、事務員や車上運動員などに限られている中で、「フライデー」デジタルは、公設第1、第2秘書が昨年の衆院選当時、街頭で秋葉氏への支援の呼びかけなどの選挙運動をしていたとする趣旨の発言をしたと指摘。公設秘書が報酬を受け取って選挙運動をしていたのが事実とすれば、「運動員買収」に当たるとしている。

この問題を受け、松野博一官房長官は24日の会見で、秋葉氏から23日に「しっかりと説明責任を果たしたい」とする電話を受けたことを明かした上で、「秋葉氏は政治家としての責任において。適切に説明することが重要だ」と述べた。

秋葉氏は昨年の衆院選で、小選挙区(宮城2区)で立憲民主党の鎌田さゆり氏に571票差で敗れ、比例復活している。

秋葉氏をめぐっては、これまで自身の政治団体が自身の妻と母に地元事務所の賃料を支払っていたことなど、複数の疑惑が指摘されている。これまでは21日に辞任した寺田稔前総務相ら、更迭された「ドミノ辞任3閣僚」の陰に隠れるような形だったが、3人が辞任したことで野党のターゲットになっている。

22日の閣議後会見では「これからも、ご納得いただけるように丁寧に説明させていただきたい」と話した秋葉氏だが、今後の国会審議で野党から繰り返し説明を求められるのが確実なことから、寺田氏と同じタイミングで更迭すべきだったと、首相の判断の遅れを指摘する声は根強い。

岸田政権では、寺田氏の後任の松本剛明総務相にもパーティー券販売をめぐる問題が浮上。また岸田首相自身、昨年の衆議選の選挙運動費用収支報告書に、ただし書きのない領収書を98枚添付していたことを認めるなど、政治とカネの問題が「底なし」の様相となっている。