渡辺明棋王(38)への挑戦権を争う、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント(挑決T)敗者復活戦1回戦、藤井聡太竜王(20)対伊藤匠五段(20)戦が29日午前10時から東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった。振り駒の結果、歩が4枚出て、藤井が先手。いつものようにマスクのひもを右から外して飲み物をひと口含み、飛車先の歩を突いた。後手伊藤も飛車先の歩を突いてスタートした。

挑決Tのベスト4以上は2敗で失格となる、独自の方式の棋王戦。藤井はこの棋戦で初めて勝ち上がった準決勝で、佐藤天彦九段(34)に敗れた。伊藤は羽生善治九段(52)に敗れた。お互い後がない。

年度内6冠の可能性がある藤井が渡辺棋王への挑戦権を得て、初の棋王戦5番勝負に出るには、伊藤に勝ち、挑決T決勝で敗れた羽生との「敗者復活組」決勝で勝った上、挑決T優勝者として待ち構える佐藤との変則2番勝負で連勝(佐藤は1勝すれば挑戦権獲得)するのが条件となる。ここから一気に4連勝できるか。

対する同学年の伊藤は昨年の新人王。21年度は45勝10敗で勝率8割1分8厘と、勝率1位賞に輝いた。10年前の全国小学生将棋大会では、準決勝で藤井と対戦して勝っている。

プロに入ってからは、今年9月11日にNHK-Eテレで放送された「NHK杯トーナメント」2回戦で初めて対戦し、藤井が勝っている。

サバイバル戦となる。今局の持ち時間は各4時間。昼食休憩を経て、29日夜には決着の見込み。