2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻は、24日で10カ月となった。

戦意をくじくことを狙ったミサイルやドローンによる電力施設への執拗(しつよう)な攻撃は2カ月以上続き、厳しい寒さの中、ウクライナでは深刻な電力不足から大規模停電が続いている。

ウクライナ出身で、嫁いだ埼玉県上里町の菅原神社で権禰宜(ごんねぎ)を務める梅林テチャナさん(39)は、ウクライナに平和な暮らしが戻ることを祈って、御朱印を書き続けている。その数はもう数千になった。

ウクライナ語で「ウクライナに栄光あれ」、英語で「Stand With Ukraine」(ウクライナと共に)と記した御朱印を、テチャナさんは多い日で120~130枚書いた。「数えられないぐらいずっと書いていたので、何枚書いたかは分からないです。1万枚はいかないと思います」。

戦火からは遠く離れた最西部の、ルーマニアとの国境にあるザカルパチア州ラヒフの出身。しかし、そこでも電力供給は1日4時間だという。「1日1時間しか電気が届かない地域もあります。ウクライナの冬は本当に寒いです。平均でマイナス10度くらい。雪は1回降ったら、そのままずっと積もります。苦しめられているのをニュースで見るのはつらいです」と話した。

ウクライナやロシアで信仰されている正教会のクリスマスは1月7日だという。「新年とクリスマスが終わったら、すごく大きな攻撃がありそうで、私はちょっと怖い。プーチンはこの間、ベラルーシに行きました。ルカシェンコ(ベラルーシ大統領)はやりたくないけれど、プーチンに『やれ』と言われたら、やるしかない。プーチンが何を考えているのか、誰も分からない。本当に恐ろしいです」。

菅原神社の手すりには平和を願って、ウクライナ国旗と同色の青と黄色のリボンが結ばれている。たくさんのリボンでもう結ぶ場所がなくなった。しかし、戦争の終わりは見えない。「プーチンはやめるつもりはない。10年かかるかもしれないけど、その日まで書き続けたいと思います」とテチャナさんは話した。【中嶋文明】