成人年齢が22年4月に18歳に引き下げられてから、初の「成人の日」を1月9日に迎える。人生に1度の晴れ舞台で、大人への新たな門出を祝う「成人式」はどう変わるのか。

法務省は22年1月に1177市区町村を対象とした、成人式に関する調査結果を公表。18歳で成人式を行うと回答したのは、わずか2市町だった。そのうちの1市である三重県伊賀市では1月8日に20歳、3月19日に19歳、5月4日に18歳の成人式を開く。3回に分けて開くのは今回限りで、次年度以降は毎年5月に18歳の成人式を開催する。成人の人数はひと学年約750人。担当者によると、受験や就職活動の時期を避け、5月に行うことを決定したという。

ただ、伊賀市の地元高校生らからは20歳での成人式を望む声が上がっている。22年4月までに8264筆の反対署名が集まったが、市は成人式を「社会が成人として扱うことを確認する節目として行うもの」と方針を変えなかった。

法務省の調査で、18歳の成人式を行うかについて「検討中」としていた宮崎県美郷町は22年8月のお盆休みの時期に18歳の成人式を開いた。今年、新年を迎えてすぐの1月3日には19歳と20歳の成人式を開催した。担当者は「社会からは18歳で成人として見なされる。早めの自覚を持ってもらうために(18歳で成人式を開くことは)市としての責任でもあると思う」と語った。

成人年齢が引き下げられたことを受け、式の名称を変更する自治体も多い。東京都北区では「成人の日記念式典」から「二十歳(はたち)のつどい」に変えて9日に実施する。式は従来通り、20歳を対象に行う。区の担当者は、名称の変更について「成人年齢と混乱がないよう『二十歳』を入れた」と話した。【沢田直人】

○…法務省の調査で、三重県伊賀市と同じく18歳で成人式を行うと回答していた北海道別海町は、18歳での成人式を取りやめた。担当者によると、22年8月に町民を対象に行ったアンケートで反対の声が多かった。22年度は20歳を22年12月25日に開き、19歳を今年の1月7日に開く。段階的に対象年齢を下げる予定だったが、23年度は成人式を開かず、24年度から「はたちのつどい(仮称)」を行う予定。担当者は本年度に行う19歳の成人式について「美容室や貸衣装店、保護者にも話を聞いて(22年の)夏の時点で、予定を動かすのが難しかった」と話した。

◆18歳の成人式 成人年齢を18歳に引き下げる改正民法が22年4月に施行。見直しは、成人年齢を20歳とした1876年(明9)以来約146年ぶりだった。成人式の時期などは決まりがなく、各自治体の判断。多くの自治体が1月の「成人の日」の前後に行う。18歳での参加となると、受験や就職活動、転居などと重なり「家庭の経済的負担が大きい」との声が多い。

改正によって18歳で親の同意なしにクレジットカードの契約などができるようになったが、飲酒や喫煙、競馬などの公営ギャンブルは20歳にならないとできない。