上野愛咲美女流棋聖(21)が囲碁界史上最年少でのタイトル獲得を目指す仲邑菫三段(13)の挑戦を受ける、第26期ドコモ杯女流棋聖戦挑戦手合3番勝負第1局が19日、神奈川県平塚市「ホテルサンライフガーデン」で打たれた。対局は白番(後手)の上野が162手までで仲邑に中押し勝ちし、3年連続5回目の獲得まであと1勝とした。第2局は来週26日、東京・市ケ谷「竜星スタジオ」で打たれる。

「ハンマー」と呼ばれる上野が豪腕でねじ伏せた。仲邑とは初のタイトル戦。未知の展開になった序盤こそやや分が悪かったが、中盤の競り合いで抜け出すと、一気に突き放した。「良くなった後は、最後までミスなく打てて良かったです」と話した。

観戦していた日本棋院理事長の小林覚九段(63)は、「上野さんは、スミレちゃんの打ち方を研究してきた上で、スキありと見た瞬間にハンマーを一撃お見舞いして勝負を決めたという感じでしたね」と評した。

対局2日前、仲邑に負ける夢を見た。「1局目は負けると思いました。1年前に同じ負ける夢を見ました」と笑う。実は「逆夢」だった。

この日の開始前、お姉さんらしさを見せていた。平塚初登場で少し緊張した表情の仲邑に対し、記念撮影での花束の持ち方や、撮影の際の立ち位置を笑顔で教えていた。

昨年は54勝20敗と、日本棋院全体1位の勝ち星を挙げた。しかも、若手限定戦の広島アルミ杯・若鯉戦は各棋戦で活躍している男性棋士を撃破。この棋戦で初めて連覇を果たした。ここでも強さをいかんなく発揮した。

「第1局は自分の力を発揮できたと思う。第2局はもっと厳しい戦いになると思う。最終局だと思って戦いたい。油断しないでもっと勉強したい」。防衛に向け、ぬかりはない。