尾辻秀久参院議長は30日、国会内で昨年7月の初当選から1度も国会に登院していないNHK党のガーシー(東谷義和)参院議員に対し、国会法に基づいて国会出席を促す「招状」を同党の浜田聡政調会長らに手渡した。

国会法第124条第1項は議員が正当な理由なく、召集日から7日以内に召集に応じない場合は議長が招状を発し、招状を受け取った日から7日以内に出席しない場合は懲罰委員会に付されるとしている。参院によると、参院議員に対して招状が発出されたのは1949年(昭24)5月11日の来栖赳夫、西園寺公一、橋本保、平野成子の4氏以来、74年ぶりとなる。

ガーシー氏の出席期限は2月5日。5日までに参院本会議か所属委員会が開催されなければ、6日以降に最初に開かれる会議に出席しなければならない。登院しない場合は、懲罰委員会が開かれる可能性がある。過去に欠席を理由に懲罰委員会に付された事例はない。懲罰は重い順に除名、登院停止、議場での陳謝、戒告がある。ガーシー氏に懲罰が下された場合、参院では2013年に無許可で北朝鮮に訪問したアントニオ猪木参院議員が30日間の登院停止となって以来となる。

招状を受け取った浜田氏は「ガーシー議員は1週間以内に帰って来ることはないと思うので、おそらく懲罰委員会には、かけられるだろう。除名になるか、どうかは私は疑わしいと思っているが、何らかの処分が下されるのは想定の範囲内」と記者団に語った。

ガーシー氏は当選前からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在し、昨年は2度の臨時国会に1度も登院せず、23日に召集された今通常国会も欠席を続けている。ガーシー氏は3月上旬に帰国し、登院する意向を表明しているが、帰国前に懲罰を受ける可能性も出てきた。【大上悟】