藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)が初防衛を目指して羽生善治九段(52)の挑戦を受ける、将棋の第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局(東京都立川市「SORANO HOTEL」)は10日午後4時3分、先手の羽生が103手で快勝し、対戦成績を2勝2敗とした。主導権を奪い、一方的に攻め切った。 敗れた藤井は初めて2日制7番勝負を2勝2敗で折り返し、シリーズ後半を迎える。本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(83)が対局を振り返ります。

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羽生九段は戦いが好きなんだと、改めて感じました。「妖刀使い」のイメージがあるかもしれませんが、チャンスとみると、ズカズカと一直線に踏み込んでくるんです。歴代名人の中でも屈指の「戦い好き」でしょう。私も、NHK杯トーナメント(1988年度の準々決勝)でやられましたから。

今局は角換わり腰掛け銀、第2局は相掛かりと、藤井王将の得意戦法2本柱を採用して、先手番で勝っています。最新型の研究が行き届いているうえに、経験が生きる戦い方でシリーズを盛り上げていますね。

藤井王将は、封じ手が意外でした。玉で成桂を取りましたが、銀で取ればどうだったのか。疑問が残ります。これで後手番で直近3連敗(王将戦第2局、A級順位戦8回戦の永瀬拓矢王座戦、王将戦第4局)ですか。今後の対戦相手の指針になるかもしれません。

改めての後半3番勝負は、本年度先手番23連勝中の藤井王将が、先手となる第5局でどう戦うかが見ものになります。羽生九段は充実している印象がありますし、このままお互いに先手番をキープして、第7局までもつれそうな気がしてきました。