立憲民主党の小沢一郎衆院議員は19日、都内で開いた自身が塾長を務める政治塾で講演し、自己主張することの大切さや憲法改正に対する持論、安全保障などについて、1時間以上にわたり話した。立民の意思決定過程への苦言も呈した。

小沢氏は、日本と欧米諸国の民主主義は「異質なもの」だと指摘。「日本は『和をもって貴しとなす』のコンセンサス社会で、あまり自己主張をしない。なあなあでなんとはなしに結論が出てくるが、欧米には通用しない。日本の民主主義を否定するのではないが、まだ(真の)民主主義が成熟した市民、国家ではない」との考えを示した。

外国との交渉を念頭に「きちんと自己主張をする習慣を身につけた方がいい。僕は、ずけずけ言うもんですからみんなに嫌われる。すぐに感情的対立になるが(欧米の)彼らは合意すると(意見は違っても)根に持ったり感情的にならない。私はそういうほうがやりやすい」などと述べた。

その上で、立民の意思決定過程について「コンセンサス社会の典型。エンドレスに議論し、最後は仕方ないというところに持ってくる。結論を出すのがいちばん最後。だからほかの野党からばかにされる」と、苦言を呈した

一方、憲法改正については「憲法は国民の人権を守るための最高のルール。時代の変化によって国民的な理解が得られれば、自由に改正することは構わないと思う」と理解を示したうえで、9条ばかりが注目されることに苦言を述べた。

「9条を守ればそれだけで平和というのはナンセンスな議論。日本国憲法の問題は、戦後の占領軍につくられた憲法であることは間違いない」と指摘。「改憲論者のおもな理由は、占領下で米国が下書きを書いたというのが最大の理由。そうであるなら、本来、日本国憲法は無効だ。いったん無効にし、新しい憲法を制定するというのがいちばん成り立つ(議論)」と述べた。

「9条のことだけではなく、いちばんの問題は国会制度。衆院の優越はあるが(現在の衆参両院は)ほぼ同じような権能をもった制度。本当は議員はそういうことを議論しないといけない」とも訴えた。

岸田内閣が防衛費を27年度にGDP比2%に増額する方針であることについては「GDP比2%まで防衛費を膨らませ、オモチャを買うという議論だ。いっぱい(兵器を)買って誰が戦うのか。その心構えがあるのか」と批判。持論の「国連待機軍創設」が必要だと訴えた。