保坂展人区長(67)が4選出馬を表明した東京・世田谷区長選(4月23日投開票)に、元財務官僚の新人、内藤勇耶(ゆうや)氏(29)が出馬することになり19日、同区内で会見した。

内藤氏は、これまで3回、候補者が保坂氏に敗れてきた自民党が昨年立ち上げた選考委員会に、知人の紹介を通じて参加。複数回の面談を経て、先月の党世田谷総支部の役員会で、擁立が決まったという。

自民の世田谷総支部では「勝てる候補を必ず擁立する」という観点で内藤氏の擁立を決めたとし、現在、東京都連に推薦を申請中。これに加え、日本維新の会の東京の組織、東京維新の会も推薦を決めたほか、「無所属・世田谷行革110番・維新」も支援する。会見には自民、維新両党の国会議員や地方議員らが居並ぶ、異例の支援体制に。他の政党にも支援を呼びかけているといい、今後広がる可能性もある。

内藤氏は世田谷区で生まれ育った。東大在学中に起業に携わり、卒業後は財務省に入省。都市部での少子化対策などデータ分析に基づく予算立案を行うなどしていた。区長選出馬が決まり、今月8日に退職した。

出馬について、東京23区の区長の平均年齢が65歳以上であることに触れ、「新陳代謝の意味からも、保坂区長をチェンジする必要がある」と強調。また、区が進める新庁舎建設をめぐり、区民に400億円の負担が生じるとして、自身は負担をなくし、同額を子育て政策や物価高対策などに充てると述べ「400億円の保坂区長か、400億円をゼロにする私かの選択選挙にしたい。むだ遣いは今ならやめられる。ラストチャンスだ」と訴えた。

仮に当選すれば、23区の特別区では最年少となる。財務官僚を辞めて出馬することについて「財務省に入って幅広い仕事をしてきたが、役人だけではできないこともあった。世田谷区の課題は痛感していたので、地元に尽くすことができるなら」と話した。

一方、現職の保阪氏は昨年11月に4選出馬を表明。国会議員を経て2011年に初当選し、現在3期目。世田谷区の人口は約91・5万人(23年2月1日現在)で、東京23区で最も多い。