日本棋院所属で現在12歳4カ月と現役最年少女流囲碁棋士、柳原咲輝(さき)初段のデビュー戦は黒星に終わった。27日、東京・市ケ谷「日本棋院東京本院」で打たれた第30期阿含・桐山杯全日本早碁オープン戦予選で、元名人の武宮正樹九段(72)に160手までで白番中押し勝ちを許した。

対局前は表情が硬かった。「緊張していましたが、対局が始まったら緊張はしませんでした。強い先生と打てるのが楽しみでした」と話した。「宇宙流」と呼ばれる武宮の打ち回しをAIで事前研究してきたという。途中で読み違いがあって苦しくしてしまい、残念ながら最後は負けを認めざるを得なかった。「もうちょっといい碁を打ちたかったのですが、仕方ないかな」と苦笑いした。

3週間前に史上最年少の13歳11カ月で初タイトルを獲得した仲邑菫女流棋聖は、柳原の2学年上。60歳差の対決を制した武宮からは、「将来のチャンピオン。スミレ2世」との言葉をもらった。「光栄です。そうなればいいかな」と返した。

柳原は同院の棋士養成機関「院生」だった昨年9月、女流特別採用推薦棋士となった。同年1月まで行われていた女流特別採用棋士試験では張心治初段(13)に敗れて準優勝。同年8月に行われた第37回ワールドユース選手権年少の部でも準優勝しており、これらの実績が評価された。日本棋院から、23年1月からデビューすると発表されていた。昨年9月の会見では、「仲邑菫二段(当時)のライバルになれるよう頑張ります」と話していた。関西棋院の所属で今年1月に初勝利を挙げた藤田怜央初段(9)に次ぐ、年少棋士でもある。