昨年7月の初当選から1度も国会に登院せず、国会法に基づいて「議場での陳謝」の懲罰処分が下されたNHK党のガーシー(東谷義和氏)参院議員(比例代表)が7日、トルコ地震の被災地視察に訪れている現地から帰国せず、8日の参院本会議を欠席することを明らかにした。ガーシー氏は公設秘書に「明日の参院本会議は欠席します。お手数をおかけしますがよろしくお願いします」とメールで連絡し、確認した公設秘書が同日午後3時、参院事務局に欠席届を提出し、受理された。

ガーシー氏は8日午前10時から行われる参院本会議で登壇し、参院で承認された陳謝文を読み上げることが求められている。陳謝に応じない場合には尾辻秀久参院議長が懲罰委員会への付託を宣告し、追加の懲罰処分の検討に入る。懲罰は重い順に除名、登院停止、議場での陳謝、戒告で、今回は議員の身分を失う「除名」の検討が不可避となった。懲罰委員会は14日に開会が予定されている。

前回の懲罰委員会(2月21日)では「議場での陳謝」が全会一致で採決されたが立憲民主党、国民民主党からは「除名」の意見も上がっており、「今回は間違いなく一発除名だ」(ベテラン議員)とする意見が与野党で大勢を占めている。同委員会で除名が採決された場合は、15日に予定されている参院本会議で出席議員3分の2以上の賛成で可決する。参院での除名は1950年(昭25)4月の小川友三氏以来、衆院では過去2例ある。

ガーシー氏は6日、滞在中のアラブ首長国連邦(UAE)のドバイからトルコ・イスタンブールに到着して被災地に入った。イスタンブールから被災地のトルコ南部まで陸路で1000キロ以上の距離がある。またイスタンブールから日本に帰国する直航便で約11時間を要するため、8日に帰国するタイムリミットが迫っており、チャーター機を手配していた。

ガーシー氏はインターネットの動画投稿サイトで著名人を中傷したなどして名誉毀損(きそん)など疑いで警視庁から任意の事情聴取を求められ、帰国した場合に旅券(パスポート)の返納命令が下されるなどの懸念から直前まで帰国をためらう発言もしていた。一方で5日には自身のインスタグラムで「髪の毛も謝罪に行くつもりで(金髪から)ちゃんと黒くしました」と語るなど帰国の意思を示していたが、このまま、1度も国会に姿を見せることなく、議員の身分を失う可能性が高まっている。

【関連記事】約28万7000票で参院選初当選から1度も国会に登院せず/ガーシー議員これまでの経過