政治家女子48党(前NHK党)のガーシー(東谷義和氏)参院議員(比例代表)が15日、1度も国会に登院することなく議員の身分を失った。この日の参院本会議で国会法に基づき、最も重い「除名」の懲罰処分が発議され、与野党の出席議員3分の2以上の賛成で可決した。現行憲法下での国会議員の除名は1951年(昭26)以来、72年ぶり3例目となった。

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ガーシー氏は動画投稿サイトで脅迫、中傷したなどとして著名人らに刑事告訴されている。今回の除名によって、国会会期中は原則逮捕されない「不逮捕特権」を失った。

警視庁は1月、暴力行為法違反(常習的脅迫)や名誉毀損(きそん)などの容疑でガーシー氏の関係者先を家宅捜索。押収した資料の分析を進め、任意の事情聴取を要請している。今後はどうなるのか。元東京地検・特捜部副部長の若狭勝弁護士に話を聞いた。

若狭氏によると、一般論として警視庁からの出頭要請に応じなかった場合、逮捕状を裁判所に請求する可能性が高くなるという。逮捕状が交付された後は「対象の人物が海外にいると、まずはパスポートの返納命令を外務省から出してもらうことが考えられる」と説明。その上で「パスポートを返納しないことになると、効力が失われて、その国の不法滞在になると思う」といい、強制送還となる可能性を指摘した。若狭氏は滞在先の国が強制送還に応じるかについて「『日本人を引き渡せ』ということなので、その国が拒否する理由は必ずしも高いわけじゃない」と話した。