WBCで日本代表が優勝した場合に、約596億円の経済効果があると試算していた阪神タイガースの優勝効果などスポーツ経済分析で知られる関西大の宮本勝浩名誉教授(78=理論経済学)が22日、大会中の絶大な“大谷効果”を加算し、約650億円に上方修正した。

投打の活躍で今大会のMVPとなった大谷翔平(エンゼルス)について宮本氏は「世界一は侍ジャパンの全員の力だが、大谷選手のWBCでもあった。大谷選手が、これまで野球を見なかった60代、70代の女性らを野球ファンにした効果は大きい」と大幅アップの要因に挙げた。

高齢の女性だけではなく、女性をファンにした“大谷効果”について「かつて日本人でこれほどまでに世界の超トップレベルに到達した野球選手はいなかった。知り合いの同年代の女性からはテレビにくぎ付けになっているという話をよく聞いた。男前で受け答えに嫌みがなく、品格があり、女性の好感度は高いのではないでしょうか」。

化粧品大手コーセーは大谷とグローバル広告契約を結んでいる。国籍、性別、年齢問わず人気の高い“大谷効果”を期待した異例の“起用法”だ。1月からは大谷を起用した日焼け止めや化粧水、美容液などのブランド広告を展開し、従来の野球ファン以外の層にも人気が波及している。

新型コロナウイルス、インフレの進行など暗い話題が多い中、日本を元気にした侍ジャパンのV効果に「孫と大谷選手という共通の話題がある高齢の女性らの“優勝祝い花見”の機会も増えるはず」とみている。

大幅アップ前の約596億円の試算は、強化試合の入場料や飲食店の売上高などを積み上げ、2月下旬に発表した。大谷やダルビッシュ有投手(パドレス)、国内組も村上宗隆内野手(ヤクルト)や佐々木朗希投手(ロッテ)ら人気選手が出場することなどを加味し、17年の前回大会試算の約343億円を大きく上回る試算だった。3大会14年ぶりに王座奪還を果たした“大谷効果”は、宮本氏の予想をはるかに超え、新たに約50億円もの経済効果を生み出した。【松浦隆司】