奈良県知事選は9日、投開票され、日本維新の会の山下真氏(54=元生駒市長)が、5選を目指した現職の荒井正吾氏(78)や自民党奈良県連が推薦した平木省氏(48=元総務官僚)ら5人をやぶり初当選した。

同知事選は荒井、平木両氏という自民党系2候補が出馬して保守分裂となった結果、維新に「漁夫の利」で知事の座を奪われる結果となった。県連会長として分裂選挙を防げなかった高市早苗経済安全保障担当相の責任は避けられず、総務省の行政文書問題に続いて地元でも足もとが揺らぐ事態となりそうだ。

高市氏は、総務相時代の秘書官だった平木氏に「県連推薦」を出したが、現職の荒井氏には直接、知事選の対応に関して事前に相談はしなかった。高市氏に不信感を募らせた荒井氏が出馬に踏み切った背景には、「高市氏の対応に筋が通っていなかった」(地元関係者)ことも大きかったとされる。

告示前の3月上旬に行政文書問題が表面化した高市氏は、国会対応にも追われ、平木氏の応援に初めて入ったのは、投開票日わずか2日前の7日だった。「維新とは数ポイント差。今日と明日でひっくり返せる」と訴えたが、自民党内では「遅い」と突き放すような声も出ていた。【中山知子】