昨年の参院選中に銃撃された安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区補選は11日、告示された。「有権者への選択肢を示したい」と出馬を決めた立憲民主党の元参院議員、有田芳生氏(71)は、下関市で開いた街頭演説で「保守の地盤である下関での選挙戦が生やさしいものではないことは最初から十分理解している」とした上で「本当に多くの人が手を振ってくださる。これは面白い戦いができると思った」と訴えた。

「敗れることが恥ではなく、敗れることを恐れて戦わないことが恥だ。私は最後まで全力を尽くして戦っていく」とも主張した。

演説後の取材には、「安倍氏と統一教会との関係やアベノミクスの検証などを(争点として)分かりやすく訴えていく」と述べた。

山口4区について「これまでは政治が動かなかった。選挙は当たり前のようにいつもと同じ結果が出ていたが、残念ながら安倍総理は非業の死を遂げられ、もういらっしゃらない」と述べ「これまではあきらめていた方々も関心を持っておられる。過去は変えることはできないが、未来は変えることができる。政策論争で新しい下関、長門をつくっていきたい」と訴えた。

「自民党候補の方は安倍元総理を継承したいと。憲法改正や拉致問題の解決も訴えておられるが、そういう候補者のみなさんとの公開討論会をぜひやってほしい」と話し、政策論争への期待もにじませた。

長きにわたった「安倍政治」が争点の1つとなる同補選には、無所属の投資家竹本秀之氏(67)、無所属の元新聞社員大野頼子氏(49)、自民党の元下関市議、吉田真次氏(38)、政治家女子48党の会社役員渡部亜衣氏(37)も立候補を届け出た。5人の候補による選挙戦だが、有田、吉田両氏の事実上の一騎打ちとなる。投開票は23日。【中山知子】