衆院和歌山1区補選の応援演説で岸田文雄首相(65)が訪れていた和歌山市の雑賀崎漁港で15日、投げ込まれた筒状のものから白煙が上がり、大きな爆発音が起きた。爆発が起きた際、現場にいた浜田真輔和歌山市議(61)が当時の様子を振り返った。

浜田氏は演説の前、演台右側に立っていた。地元食材の刺し身など口にした岸田首相が、演台の左側に向かおうとしたところ、突然、長さ30センチ、両端にキャップのようなものが付いた銀色の筒が浜田氏の目の前にカランコロンと転がり落ち、煙が出たという。

「何これ? 煙しか出ーへんのか」と考える余裕もあったというが、しばらくした後に「ドーン」と激しく音をたて爆発。「きゃー」「わー」と悲鳴が飛び交い、参加者が散り散りになった。

その際、岸田首相の姿は「気づいたらおらんかった」という。SPらしき人に覆い隠されるように素早く避難していたようだ。容疑者は、警察や漁協関係者によって素早く身柄を確保された。

事件当時のニュース映像では、男性が若い男を羽交い締めにしながら取り押さえる様子が映っており、話題を集めている。

同市議は、その男性が漁協関係者とし「(男性とは)まだ話せてないけど、他の組合員の人も『アイツ、有名になったでしょ?』って言ってた」とも語った。

続けて「警察や漁協関係者が素早く対応してくれた」と感謝。幸いけが人も出なかったが、「犯人が2本目(の筒)を投げようとしたときに取り押さえたと聞いた。中に何か入っていたら、けがしてたと思う。今思い出してもドキドキする」と恐怖の瞬間を振り返った。

演説会は当初、補選に立候補している門博文氏と浜田氏の2人で行う予定だったが、数日前に岸田首相の応援入りが決定。浜田氏が知ったのは「2~3日前」だったと明かした。

演説会に参加した関係者も漁協関係者がほとんどだっただけに、「外部の方が知るようなところかな?」と容疑者の行動を疑問視していた。【阪口孝志】