2月に死去した高野之夫前区長の後任を選ぶ東京都豊島区長選(23日投開票)には、いずれも無所属新人の4人が立候補した。

豊島区では百貨店の「そごう・西武」をめぐり、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが米投資ファンドに売却するとして、JR池袋駅直結の百貨店「西武池袋本店」に家電大手「ヨドバシカメラ」が出店する計画に注目が集まっている。前区長は低層階(1~4階)にヨドバシカメラが出店する計画に「海外ブランドショップの撤退をもたらし、文化の街の土壌が喪失してしまう」などと難色を示していた。次の区長はどう考えるのか。

元朝日新聞記者の神沢和敬氏(41)は立民、共産、れいわの支持を受ける。「豊島区を豊かにしようとする変化であれば、基本的に全ての変化が大歓迎です」と前向きで「駅というスペースは公共性が高いので、みんなで考えて街を盛り上げて行こうと思う。街としてもしっかりコミットしていく」と話した。

国民民主党を離党して出馬した区議会元副議長永野裕子氏(50)は「あくまで企業さんが決めること」。前区長の対応に触れ「ヨドバシさんを否定するようなメッセージとして伝わったのが残念。一緒に街づくりができる関係性を築いていければいいと思います」と語った。永野氏には第一声で国民民主党の玉木雄一郎代表が応援に駆けつけた。

豊島区は小池百合子都知事の国会議員時代の地元で、前区長は小池氏と盟友的な関係だった。その前区長の「後継」として出馬した前副区長で小池氏の元秘書事務担当部長だった高際みゆき氏(57)は自民、公明、都民ファの推薦を受ける。高際氏は「まずプランをお伺いして、こちらもどういう考えで池袋の街づくりをしてきたのか、企業や事業者、街の方々はこういうお気持ちですと、お伝えしたい」と語る。前区長はヨドバシカメラが低層階に入ることで「池袋の顔が変わる」と懸念していたが、高際氏は出店計画について「仮定では言えない」と述べるにとどめた。

豊島区長選には3人のほか、不動産管理業の鈴木和夫氏(71)が出馬している。【沢田直人】