「ポンジョ」の愛称で親しまれる名門女子大の1つ、日本女子大(東京都文京区)は22日、文科省で会見し、2024年4月に開設を予定している「建築デザイン学部」の詳細について説明した。日本を代表する著名建築家の東利恵さん、隈研吾氏、妹島和世さんの3人が、同学部の特別招聘(へい)教員に就任することも発表した。

「建築デザイン学部」は、「建築界のノーベル賞」プリツカー賞を受賞した妹島さんや、「星のや」などを手がける東さんら、多くの女性建築家を輩出してきた同大の「家政学部住居学科」(1948年設立の生活芸術科が前身)を、学部として独立させるもの。「人文、理工、芸術を融合した総合学問としての『建築デザイン』を学ぶ」とし、より専門性の高い人材の育成が目的という。

全国の女子大では、少子化の流れなどから昨今、閉校に追い込まれた学校も少なくない。一方、ほかの女子大でも建築系学部を設置するケースが出てきている。日本女子大でも「住居学科」の受験者数はこれまで堅調に推移していたという。女子大の建築系学部や学科は、リケジョらの進路の選択肢の1つになっているようだ。

今回、大学側は「建築デザイン学部」設置について、学部や学科の再編成や新設を現在進行形で進める中での「強みの強化」と位置づけ、「社会の要請に応える形で前向きにさまざまな動きをしている。学びの幅を広げる選択肢を増やすことで、女子学生のみなさんに選択していただける1つの材料になるのではないか」とした。

学部長に就任予定の佐藤克志教授は、これまでの「家政学部住居学科」という名称について「建築を志す女子学生が(志願を)ちゅうちょする面も一定数あったのではないかと思う」と述べた。「住居学科」という名称に愛着を感じている卒業生も多いことから、名称変更に至るには「かなりの議論があった」と打ち明けつつ「建築を学びたい女性に、もっと知っていただきたい。わが校の良さをいま1度アピールしていきたい思いがあった」とも話した。

募集人数は「住居学科」より8人多い100人を予定。東さん、隈氏、妹島さんの担当授業は今後検討するといい、大学側は「彼らの経験を直接学生に伝えることで、スペシャリストの育成につながると考えている」としている。

日本女子大は1901年(明34)4月20日創立。学生数は学部6197人、大学院258人(5月1日現在)。篠原聡子学長も、家政学部住居学科出身。