関西大の宮本勝浩名誉教授(78=理論経済学)が4日、将棋の藤井聡太竜王(名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖=20)が前人未到の全8冠制覇を達成後、1年間の経済効果を発表した。

約35億3487万円の試算となり、宮本名誉教授は「個人プレーヤーとしては空前絶後の経済効果」と驚きを隠せない。

早ければ今秋にも可能性があるタイトル8冠独占。宮本名誉教授は偉業達成後、「藤井8冠」が経済効果でも、さらなる“棋力”を発揮すると試算した。1年間は8タイトルを保持すると仮定し、直接経済効果として「タイトル獲得料」「書籍、グッズ販売などの売り上げ」「藤井ファン、将棋ファンの消費額」など7つの増加要素を挙げ、約16億3651万円とした。

タイトル戦での藤井の勝負メシやおやつも注目を集めている。宮本名誉教授は「例えば、高槻市で藤井さんが対局した時に口にしたおやつ『はにたん最中』(1個約280円)があっという間に10万個を売り上げた」。東京、大阪の将棋会館にも“藤井効果”で来館者が増え、タイトル戦が開催された旅館やホテルを訪れるファンが増えている。インターネット放送の将棋番組も人気を呼び、“観る将”も増えている。

直接経済効果約16億円をベースに、1次波及効果、2次波及効果を試算すると、8冠獲得後、1年間で約35億3487万円の経済効果があるという。

宮本名誉教授は「例えば、野球やサッカー選手の場合は、1試合に3万~4万人の有料観客を集めることができる。有名な歌手やグループがコンサートを開催する場合には1万人前後のファンを集める」とした上で、将棋のタイトル戦では大盤解説会など「数百人の観客を集める程度である。観客数が限られる将棋の世界において、1人の棋士が1年間で約35億3487万円の経済効果を生み出すことは素晴らしいこと」とコメントし、8冠独占後の“藤井効果”を「空前絶後」と予測した。【松浦隆司】

◆経済波及効果 宮本名誉教授は、直接経済効果、1次波及効果、2次波及効果を分析して、合算している。直接効果は、将棋ではグッズ売り上げ、ファンの消費額などが直接効果となる。1次波及効果は、グッズが売れれば、その材料の卸業の売り上げなどに波及する効果。2次波及効果は1次波及効果までの所得が増加した人たちが所得増分を何かに消費する金額を2次波及効果としている。