次期衆院選の野党共闘を巡って各党の溝が深まっている。立憲民主党の岡田克也幹事長は11日、会見で次期衆院選にらんで「今の健康保険証を守ります」などスローガンを掲げた3種類の文字ポスターを発表し、「秋口の選挙は十分、あり得ると思っている」としたが、立民との選挙協力に「ネガティブなことを言っておられるのは維新と国民民主党」と名指しした。

立民は泉健太代表が次期衆院選で野党共闘に否定的な方針から一転、野党各党との候補者調整や選挙協力に方針を転換した。これに対して日本維新の会の藤田文武幹事長は「選挙区調整はしない」と立民と選挙協力を真っ向から否定し、国民の玉木雄一郎代表も、この日の会見で「選挙が近くなると、政策をそっちのけにして、とにかく1つにまとめたら勝てるからまとまろう、ということでやってきたが有権者に失望と政治的無関心を生じさせてきた」と選挙協力に否定的な考えを示した。

玉木氏は8日に「共産、あるいは共産と組む政党とは一切、調整しない。立民が共産と組むなら、候補者調整や選挙協力はできない」と表明し、立民と共産が選挙協力した場合には枠組みに加わらないと明言している。岡田氏は「なぜ、かたくなに立憲民主党を玉木代表が排除しようとするのかよく分からない」と困惑するが現状は険しい。

立民は共産党ともギクシャクしている。共産党の志位和夫委員長が6日、「これまでの泉代表の言動との整合性。これをどう説明するのか。党としての説明をしていただきたい」としたことに対し、泉氏は翌7日の会見で「別にございません。共産党さんだけが対象ではないので」と突き放すような発言を行った。

これに対して共産党の小池晃書記局長は、この日の会見で「あまりに誠実さを欠いた対応」と批判した。候補者調整はするが選挙協力はしない、という泉氏の発言についても「候補者調整は選挙協力のひとつ」と反論した。そして「候補者調整は一方的なものじゃなくてお互いに譲り合うこと。一方的に候補者を降ろしてくれれば、いいですよ、というのは到底受け入れることはできない」とした。秋にも想定される衆院解散をにらみ、野党の足並みは乱れたままだ。