将棋の藤井聡太7冠(21=竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖)と豊島将之九段(33)が対戦する第71期王座戦挑戦者決定戦は4日、大阪市の関西将棋会館で行われ、先手の藤井が勝ち、永瀬拓矢王座(30)への挑戦権を獲得した。

8つあるタイトルのうち、7冠を保持する藤井にとって残すは王座のみ。8月31日、神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で開幕する王座戦5番勝負で、史上初の全8冠制覇に挑む。

一発勝負の大一番。藤井は得意の角換わりを目指したが、豊島が角道を開けない「変化球」を投げた。戦型は相雁木(がんぎ)となり、力戦形へ。中盤、激しい攻め合いになり、お互いが深い読みの妙手を繰り出した。終盤に入っても、お互いが1歩も引かない大熱戦。最後は藤井が難しい将棋を持ち前の終盤力で押し切った。

王座戦は“鬼門”だった。初参加となった18年度は挑決準決勝まで進出したが、19年度は同1回戦で敗退。20年度は2次予選で姿を消し、21年度から2年連続で挑決1回戦敗退している。1回負けたら終わりのトーナメント戦だけに、全8冠制覇への最難関とみられていた。

6月に名人を奪取し、羽生善治九段(52)に続き史上2人目、最年少で7タイトルを獲得。全8冠制覇に向けては、保持するタイトルを防衛しなければいけない。王位戦7番勝負は開幕3連勝で、防衛まであと1勝としている。王位戦を防衛し7冠を堅持すると、残すは王座戦5番勝負のみとなる。

「軍曹」の異名を持ち、10歳年上の永瀬とは17年からVS(ブイエス=1対1の練習対局)を行う研究パートナーだ。お互いの手の内は知り尽くしている。偉業達成のカウントダウンが始まった。【松浦隆司】

【第71期王座戦5番勝負日程】

◆第1局 8月31日、神奈川県秦野市「元湯 陣屋」

◆第2局 9月12日、神戸市「ホテルオークラ神戸」

◆第3局 9月27日、名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」

◆第4局 10月11日、京都市「ウェスティン都ホテル京都」

◆第5局 10月30日、甲府市「常磐ホテル」

 

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