元サッカー日本代表で、FC東京のスター選手だった石川直宏さん(42)は現在、長野・飯綱町で農場を経営している。このほど、東京・築地場外のバーベキュー場を訪れて朝どれの自作トウモロコシを持ち込み来場客に振る舞った。。
畑仕事で真っ黒に日焼けした石川さんは「世界の食材の集まる築地は、農作物のW杯会場じゃないですか。そこで自分のつくったトウモロコシを食べていただくだけで本当にうれしい」と話し「今年のトウモロコシ、めちゃくちゃおいしく仕上がってるんですよ」と胸をトントンとたたいて笑顔をみせた。
石川さんは飯綱町で自分の名前を冠した農園「NAOs FARM」(約70アール)の農場長。「もう3年目になります」と振り返る石川さんは「農業に縁のなかったサッカー選手なので、最初の2年は『農場長見習い』でしたが、ひと通りの農作業もきっちりできるので今年から『見習い』を外しました」とつぶやいた。
初年度はトウモロコシと秋にハクサイと小松菜の収穫ができた。2年目からコシヒカリ用の田んぼも開墾した。3年目の今年はトウモロコシは黄色い「なおもろこしゴールド」と白い「なおもろこしパール」の2種で昨年より2倍の2万本を収穫予定だ。糖度も20度超。築地場外の青果「藤本商店」藤本貴也さん(39)は「甘いと評判のトウモロコシでも糖度は13~14度ぐらい。食べてみたけどとんでもなく素晴らしい」と評した。
石川さんに甘さの秘密を尋ねると「飯綱町は標高が500メートル台。昼暑くて夜は寒いぐらい。この寒暖差が甘い作物をつくるみたい」と口元を緩め「種をまいて芽が出てきて自分の身長(175センチ)よりも高くなる。できあがったトウモロコシがいとおしい。生でかぶりついても甘い。野菜じゃなくてフルーツに近い」と自作のトウモロコシを溺愛する。
築地場外で市場機能を持つ中央区の施設「築地魚河岸」の3階バーベキュー場に石川さんは「まずは食べてもらわないと」と自作トウモロコシを持ち込んで無料で振る舞った。たまたま居合わせた田中あすみさん(35=横浜市)と西村晃子さん(37=台東区)は「甘くてみずみずしい」「プチッとする食感がたまらない」と絶賛。高校までサッカー部だった大川泰希さん(28=板橋区)は「えっ、尊敬するナオさん(石川さん)のトウモロコシ…もちろん、うますぎます」と瞳を潤ませた。
来場者から好感触を得た石川さんは「いや、うれしい。つくったものを喜んで食べてもらえる喜びは格別です」と小さくガッツポーズをつくった。9月中旬までトウモロコシを収穫し、同じ畑を再び耕してハクサイを植える。田んぼのコシヒカリは約200キロの収穫を予定していて、初の試みとしてソバを植える。「トウモロコシを瞬間冷凍しておいしさを長持ちさせられる。以前からポップコーンに興味ありましたしね。ソバもつくるからワサビもできそう」と新たなチャレンジにも意欲を見せた。
現在は、所属していたFC東京を2017年で引退し、そのまま同クラブにかかわる人やイベントなどで交流をはかる「クラブコミュニケーター(CC)」に就任。19年に三鷹市の農場・伊藤園で実施されたサポーターとの交流イベント「農場でバーベキュー」に参加。種まきや作物の収穫を体験したことから農業への情熱が芽生えたという。この日も伊藤園で育てたナスとエダマメも来場者に進呈していた。
「まさかボールを追いかけてたオレが農業に没頭するとはなぁ~」と石川さんはギラギラの太陽を見上げて「農業に転向するスポーツ選手のネットワークができそう。みんなの作物でコラボすれば、面白い連携ができるかもしれないですね」とニコリと笑った。【寺沢卓】

