東京・明治神宮外苑再開発をめぐり、超党派の議員連盟「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」発起人代表を務める自民党の船田元・衆院議員は21日、都内の日本外国特派員協会で会見し、今回の再開発の背景に、事業者の1つ、明治神宮の財政状況が影響しているとの認識を示した。「(明治神宮の)内苑を守るために外苑(の再開発)でお金を稼ぐという構図になっていることは、容易に理解できる」と指摘。財政難に対応する一案として、クラウドファンディングの活用などの選択肢もあるのではないかと、私案も示した。

船田氏は、自身の選挙区内の神社でも財政難の問題があるとした上で「どこの神社でも同様ではないかと思う」と指摘。明治神宮がある内苑に加えて、外苑の多くの部分についても明治神宮が管理していることを念頭に「明治神宮の財政状況はつまびらかではないが、内苑を守るために外苑でお金を稼ぐということになっているのは、容易に理解できます」と述べた。

公金の支出は、憲法89条で宗教法人への支出が禁じられているとして「できません」とした上で、「良いアイデアではないかもしれないが」として、私案を披露。「先日、国立科学博物館がクラウドファンディングで資金をまかなう方法を使った。やってみないと分からないが、そういうことを明治神宮にやっていただき、我々が積極的に協力するということも1つので道ではないか」と述べた。国立科学博物館が、コレクション収集などの費用確保にクラウドファンディングへの協力を呼びかけ、目標額の1億円を大幅に上回る資金を1日で集めて話題になったケースに言及した。

一方、ともに会見した国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス、本部パリ)の日本国内委員会の石川幹子理事は「内苑のために外苑(の再開発)ということは久しくいわれてきたが、内苑のために外苑を壊していいということになると(創建時の)理想が失われる」と訴えた。イコモスは再開発の即時中止を求めている。

今回の再開発をめぐっては、東京都の小池百合子知事が15日の記者会見で「外苑と内苑の護持(ごじ)を進めると事業者の明治神宮が言っている。内苑の森を守るためにどうするかを、外苑が担っている」「明治神宮の内苑を守り、外苑をスポーツなどで楽しんでいただく施設に変えていきたいというのが、今回の4事業者の考えだ」と指摘している。