岸田文雄首相は12日、首相官邸で報道陣の取材に応じ、将棋の第71期王座戦5番勝負第4局に勝利し、将棋界初の8冠全制覇を達成した藤井聡太王座(竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖=21)に対し、内閣総理大臣顕彰の授与を調整していることを明らかにした。

内閣総理大臣顕彰は、国家や社会に貢献し顕著な功績があった個人、団体を対象に、時の首相が顕彰するもの。内閣府のホームページによると、対象は<1>国の重要施策の遂行に貢献<2>災害の防止及び災害救助に貢献<3>道義の高揚に貢献<4>学術及び文化の振興に貢献<5>社会の福祉増進に貢献<6>公共的な事業の完成に貢献の6種類があり、藤井8冠の場合は<4>に該当するとみられる。表彰の際には表彰状と盾、金一封が贈られる。

将棋界のレジェンド羽生善治九段も将棋界初の7冠を達成したことを受けて1996年2月、当時の橋本龍太郎首相から内閣総理顕彰を受けている。羽生九段は当初、政府から国民栄誉賞を打診されたが「時期尚早」と辞退し、「内閣総理大臣顕彰」に落ち着いた経緯がある。

内閣総理大臣顕彰は1966年(昭41)以降、これまで個人35人、16団体に贈られている。向井千秋さんや若田光一さんら宇宙飛行士のほか、サッカー鹿島アントラーズ総監督を務めたジーコ氏、女子ゴルフの岡本綾子さん、ハンマー投げの室伏広治・現スポーツ庁長官、競輪の中野浩一氏、女子柔道の田村(現姓・谷)亮子さん、レーシングドライバー佐藤琢磨、はやぶさ2プロジェクトチームなど、授与対象は多方面にわたる。囲碁の井山裕太九段も、2016年6月に贈られた。

最近では2021年4月、日本選手で初めてマスターズを制し、日本男子初のメジャー制覇を成し遂げた男子ゴルフの松山英樹に贈られた。