自民党の神田憲次財務副大臣(60)は9日の参院財政金融委員会で、2013年、2014年、2022年にかけて自身が代表取締役を務める会社が保有する土地・建物の固定資産税を滞納し、差し押さえを4回受けていたことを明らかにした。8日に「文春オンライン」に報じられた内容を認めた。

立憲民主党の勝部賢志議員の質問に答えた。

税理士の資格も持つ神田氏は「お騒がせしていることを大変申し訳無く思う。過去に税金を滞納したことは事実。深く反省しております」と陳謝した。ただ詳細な経緯や、なぜ税金を滞納したのか説明するよう求められると「今、精査を進めている」などとして、応じなかった。

「事情の説明ということで聴いて欲しい」とした上で、国会議員としての業務が繁忙になったことで「税理士業務のところの部分で、文書管理などにおいて(意識が)希薄になっていたことは事実」と主張。税金滞納と差し押さえが4回も続いていることから「確信犯ではないか」と突っ込まれると「国会議員としての職責をまっとうするところに比重があり、督促状などの文書(の対応)はスタッフにまかせていた。業務多忙でなかなか関知することができなかったのが実情だ」と、スタッフに責任転嫁するような発言もあった。

国会議員でありながら納税を怠っていたことに「(議員の)業務多忙なんか理由にならない。税金を納めることを軽んじていたのではないか」と指摘されると「軽んじていた気持ちはない。管理が行き届いていなかった点は反省しないといけない」と述べた。

国民の義務である納税の一部を怠ったことを認めながら、「これまで政治家としててなすべきことをしてきた自負がある」と述べ、「引き続き職務遂行に全力を傾注する所存です」と述べ、辞任はしない考えを示した。しかし副大臣、政務官に問題が相次ぐ岸田政権には再びのダメージで、今後、進退問題に発展する可能性もある。

8日の「文春オンライン」、9日発売の「週刊文春」は、神田氏が税金を繰り返し滞納したほか、税理士に義務づけられた研修を受講しなかったとして税理士法に違反する疑惑などを報じた。神田氏は研修を受講しなかったことや、研修免除の申請もしていなかったと認めた。

神田氏は衆院愛知5区選出。2012年衆院選で初当選し当選4回。今年9月の内閣改造で財務副大臣に就任した。自民党最大派閥の安倍派に所属している。