自民党の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、安倍派(解散決定)でかつて事務総長や会長代理を務めた元幹部の下村博文元文科相が18日、衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席した。下村氏は、安倍派でキックバック(還流)がパーティー券販売のノルマ超過分がキックバック(還付)されていることを「知らなかった」とした上で、派閥の会計についても関与していなかったと主張。「還付を決めたり、政治資金収支報告書への不記載を指示したり、了承したことはない」とも訴えた。

最大の焦点になっているのがキックバック復活の経緯。安倍派会長時代の安倍晋三元首相が2022年4月の幹部会合でキックバックをやめる方針を決めたにもかかわらず、安倍氏の死去後の同年8月の会合以降に復活された経緯について、これまで政倫審で説明した安倍派幹部の間で説明が食い違い、だれがいつ決めたのかも、明らかになっていない。

4月の会合にも8月の会合にも出席していた下村氏の発言が、大きな鍵を握る意味で野党から「ラスボス」と期待されたが、下村氏は、キックバックが復活した詳しい経緯について「どこで誰が決めたのかは、私はまったく知らない」と主張した。

8月5日の会合について「今後の清和研の運営の仕方や、安倍さんの葬儀についての話が中心だった。8月の会合でも還付はやめるというのが前提だった」と、8月の会合では「還付廃止」の認識だったとした上で「(ノルマ超過分を)戻してもらいたい人にどんな方法が取れるのかということで、個人でパーティーをした時に派閥が購入するというふうな方法があるのではないかと『ある人』が言った」と述べた。

「ある人」がだれかという質問には「だれが最初に言ったのかは覚えていない」と述べ、「ある人」の存在について詳細に触れなかった。キックバックの復活は「その後(8月5日の会合)に決まった。私はその会合には出ていない。どこで決まったか、私自身、まったく分からない」と主張を続けた。

焦点となっている8月5日の会合について、これまでの政倫審では、座長を務めた塩谷立氏がキックバックを「復活させる方向で協議された」と述べたが、西村康稔前経産相と、世耕弘成前参院幹事長は結論は出ていなかったと説明し、主張が食い違っている。下村氏も、当日は結論は出ていないという認識を示した。