国際弁護士の清原博氏は22日、日刊スポーツの取材に応じ、ドジャースが大谷翔平投手(29)の通訳・水原一平氏(39)を、違法なスポーツ賭博に関与したとして契約を解除したことについて「大谷選手側に、今後捜査当局から任意の事情聴取の要請は十分にありうる」と指摘した。「胴元をターゲットとした中でも、大谷選手の銀行口座から多額のお金が振り込まれていることから、あくまで『送金について事情を聴きたい』ということ。これは大谷選手の弁護士が対応する」と述べた。

大谷が責任を問われる可能性については「水原氏は『大谷選手と借金について相談したところ、自らパソコンをたたいて送金した』といったん発言し、その後撤回している。仮にこれが『事実』だったすれば、大谷選手がよかれと思ってやったとしても、違法と認識しながら肩代わりしたら『賭博ほう助罪』に問われる可能性がないわけではない。違法性を認識せず、送金した場合は罪に問われないだろう」と予想した。

今は捜査の推移を見守るしかないとしながらも、「1番いいのは水原氏が出てきて会見する。そのうえで大谷選手が会見することだ。日本の国税庁に当たる、米国のIRSも動きだした。大谷選手が火の粉をかぶりかねない。慎重に事実関係を調べて、火の粉をかぶらないようにしなければいけないでしょう。目が離せない状況だ」と話した。

一方、水原氏については、現在の報道内容から3つの罪に問われる可能性があると分析した。

(1)賭博罪 「有罪なら6カ月以下の禁錮、または100ドル~1000ドルの罰金、またはその両方となります」。

(2)窃盗罪 「これは大谷選手の口座から何らかのパスワードを得て、勝手に送金したケース。有罪なら1万ドルの罰金または3年以下の禁錮となり、これに加え裁判所が盗んだ物を返せと命じる場合もある。この場合は6億7500万円と言われる金額か、その一部を返金しなければならない」。

(3)横領罪 「水原氏が大谷選手の銀行口座を管理する権限があり、大谷選手に無断で送金した場合です。一概に言えないが50万ドル以下の罰金、または6年以下の禁錮となります」。

◆清原博(きよはら・きよし)1994年(平6)、東京外国語大学外国語学部英米語学科卒業後、司法試験合格。東京地裁裁判官や法務省民事局付検察官どを経て、米国ロースクールに留学し、法学修士号取得及び法学博士号前期課程修了。ニューヨーク州及びカリフォルニア州司法試験に合格し弁護士登録。米国の法律事務所で働いた後、帰国し法律事務所を開業。